カニンヘンダックスについてのお勉強

カニンヘンダックスはとても奥の深い犬種です。

カニンヘンの素晴らしさを、より多くの方々にご理解頂ければと思い、私がこれまでに勉強してきた中で、まずはやさしい所からご紹介させて頂きたいと思います。

まだまだ勉強の余地がある犬種ですので、是非みなさんもご一緒に勉強して行きましょう。

カニンヘンとは

まず、ダックスフンドには、3サイズあります。
スタンダード(大)、ミニチュア(中)、カニンヘン(小)

カニンヘンダックスは、3サイズあるダックスの中でも一番小さく、穴うさぎやテンなどを狩猟する目的で作出されました。

原産国はドイツで、日本には1995年にはじめて輸入されました。カニンヘンは、ドイツ語でうさぎと言う意味です。

ちなみに毛種も3つあり、

スムース(短毛)、ロング(長毛)、ワイヤ(剛毛)

3(サイズ)×3(毛種)で、ダックスだけで9種類もあります!

カニンヘンダックス 登録頭数の推移

1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年
2頭 21頭 135頭 385頭 1044頭 1410頭 1909頭 2538頭 3064頭

このようにカニンヘンダックスは年々増加傾向にあり、人気の高さがうかがえます。
しかし、どうしてここまで急激に登録頭数を増やせたのでしょうか?

カニンヘンへの変更

1995年にはじめて2頭のカニンヘンが登録されました。
当初は、両親のどちらかがカニンヘンであれば、仔犬はカニンヘンでもミニチュアでもどちらでも登録が可能だったのです。

そこで、格段に登録頭数を伸ばして行きましたが、サイズのばらつきが当たり前のようにみられ、2000年からは、両親どちらもカニンヘンでなければ、仔犬はカニンヘン登録が出来ないように改正されました。
ただし、生後15ヶ月以上で胸囲が30cm未満なら、ミニチュアからカニンヘンへの変更が可能になりました。

日本ではじめて認定試験を受け、正式な変更手続きをとったのが、当犬舎のチャルだと思います。
その後、ドッグショー会場で4グループ(ダックス)の審査員に計測してもらうかたちの変更手続きに変わって行きました。

もともとはドイツ、または、ドイツ周辺のヨーロッパ諸国にしかいなかったカニンヘンですが、変更手続きが可能になった日本では、イギリス系やアメリカ系などのカニンヘンも存在します。(イギリスやアメリカには、カニンヘンはおりません)

STUDY ダックスのスタンダード

ここからはダックスのスタンダード(犬種標準)に沿いながら説明致します。
※ここでの『標準』とは、一定の基準に沿って『こうあるべき』と定められたものを指します

頭部はどんな犬種でもとても大事な部分です。
ダックスは、鼻先(写真A)からストップ(B)、ストップ(B)から頭蓋の基部(C)までの長さの割合が同じであること、また耳を
鼻先(A)に向かって伸ばした際に鼻より先に出てはいけません。

さらに、上部から見ても、横部から見ても、鼻先に向かって徐々に細くなっていかなくてはなりません。
鼻、目、目ぶち、口唇は色素が濃く黒いのが理想です。
クリーム系のカラーではなかなか難しい事です。
目のかたちは中位のアーモンド型が理想ですが、イギリス系では、ぱっちりと丸い目をしたダックスが多く見られ、やや精悍さに欠けます。

ストップ(B)については明確で無い方が望ましく、
頭部がら鼻先までが、なだらかに結びつく方が理想です。

最近はストップがはっきりしたダックスが多く見受けられます。

STUDY2 カニンヘン - 体高体長比


以前のスタンダードでは体高(写真黄)と体長(赤)の比率が、10:20と定められておりました。しかし、日本のダックスがあまりにも足が短く、胴が長くなり、動き(歩様)が悪くなってしまった為に、
現在のスタンダードでは体高、体長比の記載がありません。

少しずつ、本来の理想である体高体長比(10:17~18)に移行する為だと思われます。
ダックスは愛玩犬では無く猟犬ですので、動きがとても重要視されます。
ちょっと動いて疲れてしまうようであれば問題です。

カニンヘンについては3サイズの中でも特に活発に動ける事が理想です。
猟犬として作出されたダックスは、胴長短足で、なおかつ動ける!という絶妙なバランスが必要なのです。

STUDY3 カニンヘン - サイズ

ドイツでは、はじめダックスフンドと登録されます。
生後15ヶ月が経った状態で胸囲の計測が行われ、それからミニチュア(ドイツではツベルクと言います)や30cm未満であればカニンヘンに登録されます。

日本では、両親がカニンヘンであれば仔犬はカニンヘンに登録されます。
先ほど述べたように、ミニチュアでも生後15ヶ月以上経った状態で、
胸囲が30cm未満であればカニンヘンに変更登録する事が出来ます。

またドイツでは計測する際に、強く締めて計測します。
穴にもぐる時の事を考えての事だと思います。

ドイツでも日本でも胸囲が基本となっており、たとえ体重が4キロを超えても問題無いという事です。

体重を気にしすぎてガリガリに痩せてしまっては可哀想です。
骨格、骨量でもだいぶ体重が変わってきますので、その子にあった体型を維持してあげるのが一番です。

STUDY4 カニンヘン - 歩様

ダックスに限らず他の犬種でも、歩様を見れば骨格の構成がわかります。
骨格の話になるとちょっと難しくなりますので、歩様について簡単に説明致します。

ダックスの理想的な歩様は、地面に対し前足が45度に伸び、後足も45度に蹴れる事、
それと前方から見ても後方からみても地面に対してまっすぐに伸び、まっすぐに蹴れる事です。

その際に、ネック(首)を掲げ、尾は背線よりも下方にあるのが理想です。
それが出来てこそ、理想的な骨格構成と言え、経済的な(疲れない)歩様が生まれるのです。

STUDY5 カニンヘン - 色素

色素はあるにこした事はありません。
どんなカラーにおいても色素はとても重要です。
クリーム系の色素が少ない子は、身体が弱く病気にかかりやすいですし、体が柔らかく、動きに力強さを感じません。
逆に色素のしっかりした子は病気にもかかりづらく、筋肉質で動きに力強さを感じます。

色素をチェックする部位としては、まずは鼻、それにパッド(足の裏)、爪、目ぶち、口唇などです。
目にも色素があり、写真を撮った際に赤暗く光るのは色素があり、緑色に近いのは色素が無いと言えるでしょう。

毛色でもある程度はわかりますが、毛色が濃いからといって必ずしも色素があるとは限りません。
特に繁殖の際には色素の点を良くチェックしなければなりません。
色素が無い同士の繁殖はやってはいけませんし、繁殖にも使わない方が良いでしょう。

STUDY6 カニンヘン - 毛質

毛については毛質、毛量、毛長を理解する必要があります。
ダックスは本来、毛質はシルキーで光輝き、直毛または少しのウェーブがあり、一本一本しっかりしています。

毛量は決して多いからいいと言うわけではなく、体にピタッとするくらいで良く、その代わり耳、前肢、後肢の飾り毛、胸、腹、尾の毛が長く伸びるのが理想です。

STUDY7 カニンヘン - 噛み合わせ

ダックスの理想的な噛み合わせはシザースバイトと言い、人間と同様に、上の前歯の後部に下の前歯の
前部が合わさります。

また、上の前歯と下の前歯がぴったり合わさる噛み合わせをレベルバイトと言いますが
それも許されます。

その他に、上の前歯と下の前歯が極端に離れているオーバーショット、逆に、下の前歯が
突き出るアンダーショットがありますがどちらも重大な欠点となります。

STUDY8 カニンヘン - その他

その他に欠点となるのが尾曲がりや、陰睾丸などです。
尾は尾骨の一つ一つを確認し、きれいに伸びていなくてはなりません。
睾丸はきちんと二つ無ければなりません。先天的なものであれば遺伝しますので、繁殖はお控え下さい。

ドイツへの憧れ

私もはじめはイギリス系のミニチュアダックスをやっており、ドイツのダックスを見たときはかなりの違和感を
感じたものでした。
しかし見れば見るほど、またダックスを理解すればするほど、ドイツダックスの素晴らしさ
に惹かれていきました。

ドイツダックスの素晴らしさ

ドイツのダックスは原産国ドイツの深いこだわりが感じられます。
まずは目的用途を第一に、狩猟犬としてのダックス作出を考えております。

特にカニンヘンは足が長く見えるとよく言われますが、前にも述べた通り、穴ウサギやテンを捕まえるのが仕事です。
足が短くてはすばしっこいウサギやテンを捕まえられるでしょうか?

その為に体高、体長比が10:17~18(イギリス10:20~に対して)に作られているのです。
あまり足が短くては猟には向きません。

カラーもドッグショーに出るロングヘアーのほとんどが、濃いマホガニーレッドか、シェイデットレッドです。
クリームのようなカラーは美しいのですが、狩猟犬には向かないからです。

色素も素晴らしく、爪、パッド(足の裏)、目ぶちは真っ黒です。
色素が十分なので体も硬く、筋肉質で動きがとても力強いのが特徴です。
骨格構成もしっかりしていて首抜けの良さはエレガンシーさを与え、前肢、後肢の正確さは精密機械のようです。
目のかたちも中くらいのアーモンド型で賢く、精悍に見えます。

毛質はシルキーで光り輝き、無駄に毛量も無く、すっきりとしていて、直毛または、なめらかなウェーブが
かかっていてとても美しいのです。本当のダックスの美しさはドイツのダックスにあると思います。
(注:もちろんドイツの全てのダックスがこうではありませんが全体的にこういう印象を与えてくれます。)

日本のカニンヘンの現状

先ほど述べた通り日本では、イギリス系やアメリカ系のカニンヘンも存在します。
そのおかげで本来は無いクリーム系カラー等が楽しめるわけですが、JKC(日本)のスタンダード(犬種標準)改正に伴い、クリームやその他のカラーを作る際にも、ドイツのダックスを意識しラインに組み込むのが理想的だと思います。

カニンヘンをお探しの方へ

現在はミニチュアよりもカニンヘンの方が値段が高いのもあり、ミニチュアの小さいのは全てカニンヘンに変更し、
カニンヘンを理解しないでブリーディングする方が増えております。

イギリスやアメリカだけのラインで作出したカニンヘンは、ただイギリスやアメリカのミニチュアの小さい版で、作出目的を無視したカニンヘンであると考えます。
カニンヘンをお探しの方は、そのあたりをよくご理解した上で、お求めになられるとよろしいかと思います。

カニンヘンブリーダーとしての当犬舎の考え方

当犬舎では、ドイツラインを意識し、ドッグショー用のカニンヘン作出を第一の目的としてブリーディングしております。
まさに「ドイツダックスの素晴らしさ」で述べたドイツカニンヘンが理想であり、そこに重点を置いております。

最後に、長文にお付き合いいただき、ありがとうございましたm(_ _)m
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オーナー 亀川正敏(かめかわ まさとし)