― 日本のブリーダー・愛好家が今こそ向き合うべき“健全な繁殖”という問い

目次

1. はじめに：禁止報道の背景とは？
2. なぜ「ダックスフンド」が議論の対象になったのか？
3. ダックスフンドは本当に“禁止”されるのか？
4. 日本の愛好家・ブリーダーが取るべき3つのアクション
5. トラストブリーダー Schildkrote の考える「健康と繁殖」

はじめに：禁止報道の背景とは？

「ドイツでダックスフンドが禁止されるらしい」――そんなニュースがSNSやメディアで取り沙汰され、多くの飼い主や愛好家のあいだに衝撃が走りました。

しかし実際には、「ダックスフンドが法律で禁止される」という事実は存在しません。これは、ドイツで議論されている動物福祉法の改正案において、いわゆる「苦痛繁殖（Qualzucht）」を規制しようという流れのなかで、胴長・短脚という形質を持つダックスフンドも対象になりうるのではないかという懸念が浮上したことによるものです。

この議論は、日本のブリーダーや飼い主にとっても他人事ではありません。

なぜ「ダックスフンド」が議論の対象になったのか？

ドイツの動物福祉法改正案では、骨格異常や慢性的疾患をもたらす形質を「繁殖で助長してはならない」という方針が強化されつつあります。

ダックスフンドにおいては、以下のような点が問題視される可能性があります。

• 椎間板ヘルニア（IVDD） の罹患率が高く、歩行困難や下半身麻痺を引き起こすリスク
• 胴長・短脚という体型が骨格異常由来（FGF4遺伝子変異）とされている
• 過去には極端な見た目を追求した繁殖も存在した

ダックスフンドは本当に“禁止”されるのか？

結論から言えば、「ダックスフンドという犬種そのものが禁止される」わけではありません。

ただし、以下のような条件に該当する繁殖が、ドイツ国内では規制される可能性があります。

• 極端な胴長・短脚で身体への負担が大きい個体
• 遺伝的疾患（椎間板ヘルニアなど）が発症しやすい形質を重視した繁殖
• 見た目の可愛さを優先し、健康への配慮がなされていない繁殖方法

逆に言えば、健康面に配慮されたバランスの良い個体であれば、対象外となる可能性も高いといえます。

日本の愛好家・ブリーダーが取るべき3つのアクション

① 健康第一の繁殖基準を明文化・実行する

• 外見や人気よりも、骨格・筋肉・行動の健やかさを最優先する
• 遺伝子検査や構造評価（X線検査など）を導入し、健全な親犬のみに繁殖を許可
• 血統によるリスク管理も重視

② 飼い主への情報提供と教育を重視する

• 「かわいい」だけではない、体型による生活リスク（段差、体重管理など）を明確に伝える
• 飼育中の注意点（運動量、階段、抱き方）を丁寧に説明
• 「知って飼う」文化の普及を目指す

③ 海外動向と動物福祉基準を先取りする姿勢

• ドイツなど動物福祉先進国の取り組みを研究・反映する
• 日本独自の高福祉基準づくりを進め、信頼ある繁殖文化を確立
• 一時の人気よりも、「20年後にも誇れる犬づくり」を意識

トラストブリーダー Schildkrote の考える「健康と繁殖」

ドイツ原産の犬であるダックスフンドを扱うSchildkroteでは、「人気や見た目よりも、犬にとっての“生きやすさ”」を何より大切に考えています。

私たちが重視しているのは以下の3点です：

• 生まれる前から始まる健康づくり（遺伝・栄養・社会性）
• “かわいさ”だけではなく“暮らしやすさ”を重視した繁殖
• 譲渡後のサポートまで含めた「一生の関係」

こうした哲学が、世界的な動物福祉基準の流れとも自然に重なり、より持続可能なダックスフンドとの暮らしを支えるものになると信じています。

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