カニンヘンダックスフンドのFCIブリードスタンダード

原産国

ドイツ

正規のオリジナルスタンダードの発行年月日

2001年3月13日

用途

地上地下、両方で働く狩猟犬

FCI(国際蓄犬連盟)における分類

グループ4 ダックスフンド ワーキング・トライヤル

ダックスフンドの歴史(要約)

ダッケルやテッケルとも呼ばれるダックスフンドは、中世の時代から親しまれてきた犬種である。
Bracken(狩猟時代)から繁殖され続けてきたのが、特に小動物の巣穴などに潜って獲物を追うのに適した犬種であった。

これらの足の短い犬からダックスフンドは進化し、最も万能で狩猟に役立つ犬種の1種であると認識されていった。
この犬はまた、地上での狩りにも優れており、吠えながら傷ついた獲物を追跡し捜し続ける。

ダックスフンドの繁殖に専心した最も古いクラブが、1888年に設立されたドイツテッケルクラブである。
数十年に渡り、3サイズのダックスフンド(スタンダード、ミニチュア、カニンヘン)にそれぞれ3種のコート(スムースヘアー、ワイヤーヘアー、ロングヘアー)の犬が繁殖されてきた。

一般外貌

体高が低く足が短く、胴長ではあるが、骨格はしっかりして非常に筋肉が発達している。
ヘッドの運びは大胆で挑戦的。顔の表情もきびきびしている。
大体見た目で、その犬の性別がわかる。
体長に比べ、非常に短い足をしているにもかかわらず、動きはとても活発かつ柔軟である。

重要とされる体のプロポーション

地面から胸底までの高さは、地面からキ甲部までの高さの3分の1。
ボディーは体高1に対し、体長1.7ないし1.8ぐらいの比率で、バランスのとれた長さでなくてはならない。

態度/気質

もともと人なつこい性格で、神経質でも攻撃的でもなく、気質も落ち着いている。
熱心に辛抱強く、優れた嗅覚で素早く獲物を追っていく犬。

ヘッド(頭部)

上部、及び側面から見ると長く、鼻端に向かうにつれ均等に細くなっていくが、とがってはいない。
眉頭の輪郭ははっきりしていて、鼻の軟骨と鼻陸は長くて細い。

スカル(頭蓋)

どちらかと言えば平ら。わずかにアーチがかった鼻陸につながっている。

ストップ(額段)

かすかに確認出来る程度。

ノーズ(鼻)

革がよく発達している。

マズル(口吻)

長くて、充分な幅があり頑丈。両目の高さまで大きく開く事が出来る。

リップ(口唇)

キリッと引き締まり下顎をうまく覆っている。

顎/歯

上下顎共に良く発達している。
平らにしっかりと噛み合わさったシザーズ・バイト。
犬の口として必要とされる42本すべての歯が生え揃っているのが理想的である。
丈夫な犬歯が正しく噛み合っている。

中サイズの楕円形。両目の間隔が開いている。
明朗活発で親しげな表情をしている。
突き刺すような感じでない。
目の色は生き生きとした印象を与えるもの。
すべての色のコートにおいて、濃いレディッシュ・ブラウンからブラキッシュ・ブラウンまで。
ダップルカラーの犬の場合には、ウォール・アイやフィッシュ・アイ、パール・アイは望ましいものではないが認められる。

高く、あまり前方過ぎない位置にある。充分な長さはあるが長過ぎてもいけない。
幅があり丸みを帯びている。先がとがったり、折れたりしていない。
よく動き、前端は頬に接している。

ネック(首)

長さが充分あり筋肉質。喉の皮膚にはたるみがない。
首筋はわずかにアーチがかっている。
大胆に高く保持している。

ボディー

トップライン(上部のライン)首から少し傾いている尻まで、調和の取れたなだらかな線を描いている。

ウイザーズ(キ甲部)

はっきりわかる。

バック(背中)

高いキ甲部から後ろに続くトップラインは、胸部の脊椎骨からまっすぐ、またはわずかに傾斜して後部に続いている。
ぐらつきがなく、筋肉が発達している。

ロイン(腰)

強固な筋肉、充分に長い。

ランプ(尻)

幅広く充分な長さがある。わずかに傾きがある。

チェスト(胸)

充分に発達した肋骨が非常に出っ張っていて、両側にわずかなくぼみが見られる。
前から見ると胸郭は楕円形をしている。
上部と側面から見ると発達した心臓や肺を包み込めるほどの充分な広さがある。あばら骨が充分後方まで伸びている。
側面から見た時、肩胛骨と上腕が正しい長さと角度でついていれば、前足は、肋骨が一番地面につきそうな位置にくる。

アンダーラインとアブドーメン(下部のラインと腹部)

わずかに巻き上がっている。

テイル(尾)

あまり高過ぎない位置にある。トップラインの延長でつながっている。最後の3つの尾椎がわずかにカーブしていても認められる。

リムズ(四肢)

フォアーレッグス(前足)

外貌

強固な筋肉がついている。角ばっている。前足は骨が丈夫で、前方から見るとまっすぐ立ち、足先もまっすぐ前を向いている。

ショルダー(肩)

柔軟な筋肉をしている。肩胛骨は長く傾斜して胸部に接合している。

アッパーアーム(上腕)

肩胛骨と同じ長さで、肩胛骨に対し直角についている。強い骨、発達した筋肉が肋骨近くに接合しているが、動きは自由である。

エルボー(肘)

内側にも外側にも曲がっていない。

フォアーアーム(前腕)

短いけれども、地面からボディまでの高さは、地面からキ甲部までの高さのおよそ3分の1であること。
できるだけ真っ直ぐ。
パスターンジョイント(中手関節)肩関節よりわずかに間隔が狭い。

パスターン(中手)

側面から見た場合、極端にあるいは目立つほど前方に傾いていてはいけない。

フロントフィート(前足首)

ぎゅっとしまった足先は、アーチ型を描き、強く抵抗力がある。
パッドには充分な弾力があり、固く短い爪が生えている。
5番目の指は機能していないが欠落していてはならない。

ハインドクォーターズ(後ろ足)

アウトワードアピアランス(外貌)
筋肉があり力強い。前足と正しく釣り合いが取れている。
膝関節と飛節の角度は大きい。
後ろ足は平行に立ち、両足は近寄りすぎても離れ過ぎてもいけない。

アッパーサイ(大腿)

充分に長く筋肉が発達している。

スタイフルジョイント(膝関節)

幅広く力強く、角度がはっきりしている。

ローアーサイ(下腿)

短く、大腿に対してほとんど直角。筋肉が発達している。

ホックジョイント(飛節)

すっきりとして強い腱がついている。

ハインドフィート(後ろ足首)

4本の指がしっかりくっついて、きれいなアーチ型を描いている。
丈夫なパッドの上にしっかりと立っている。

ゲイト/ムーブメント(歩様/動作)

動きは、しっかり地面を踏みしめ、流れるようでエネルギッシュでなくてはならない。
足はあまり持ち上げすぎず前へ大きく出す。力強い後ろへの足蹴りで少し弾みがつき、バックラインへ伝わっていく。

尾はバックラインの延長として、わずかに傾きながらも釣り合いよくつながっている。前足と後ろ足は平行に動く。

スキン(皮膚)

張りがある。

コート(被毛)

スムースヘアー

ヘアー(毛)

短くて艶があり張りのあるしっかりした手触りの毛が、均一に隙間無く生えている。
どこにも脱毛した部分があってはならない。

テイル(尾)

先へ行くほど細くなり、多すぎない程度の充分なコートで覆われている。
幾分長めのガードコートが伸びだしていても欠点にはならない。

カラー

単色

レッドやレディッシュ・イエロー、イエローはみな、黒い毛が散在していてもいなくても構わない。
鮮やかなカラーほど好まれるため、レディッシュ・イエロー、イエローよりもレッドの方が高く評価される。
黒い毛が散在しているとはっきりとわかるような犬であっても、単色と分類される。他のカラーとして分類されない。

ホワイトは望ましいカラーではないが、小さな白い斑点が点在していても、欠点とは見なされない。
鼻と爪は黒。レディッシュ・ブラウン(赤茶)も認められるが、望ましくはない。

二色

濃いブラックもしくはブラウンに、タンやイエローのマーキングが目の上やマズルの外側、下唇あたり、耳の内側、胸周り、足の内側や後ろ側に入っている。

また足先の表側、肛門まわり、肛門からしっぽの先までの下側、長さで言うと3分の1から半分ぐらいまでマーキングが入っていることもある。
鼻と爪の色はブラックの犬は黒く、ブラウンの犬はブラウンであること。

ホワイトは望ましいカラーではないが、小さな斑点が点在していても、欠点とは見なされない。
タンやイエローのマーキングが広がりすぎているのは望ましくない。

ダップル(タイガー・ブリンドル、ブリンドル)

基本となるカラーは、大抵、濃い色(ブラックやレッド、またはグレー)。
不規則なグレーかベージュ色の斑点が望ましいとされる。(大きい斑点は良くない)。
斑点の色が濃くても薄くても良くない。

ブリンドル

ダックスフンドのカラーは、レッドやイエローに、地色より濃い色の縞があるものを指す。
鼻と爪の色に関しては、単色、二色の場合と同じである。

ワイヤーヘアー

ヘアー

マズルと眉毛、耳を除き、全身に隙間無く平らに、艶のあるワイヤーのトップコートとアンダーコートが生え揃っている。
マズルには、はっきりとわかるくらいのあごひげがあり、眉毛の毛も多い。
耳の毛はボディの毛より短く、ほとんどスムース。

テイル(尾)

充分、均等に短い毛に覆われている。

カラー

明るいものから暗いものまでワイルドボアー・カラーが圧倒的だが、乾燥した葉のようなカラーもある。
その他には、スムースヘアーで述べたカラーがあげられる。

ロングヘアー

ヘアー

アンダーコートの上になめらかなシルキーコートが全身にむらなく覆っていて、喉のあたりやボディの下側の方に長めの毛が生えている。
両耳には、耳先より長い毛(飾り毛)がある。足の後ろ側の飾り毛はよく目立つ。
尾の下側の毛が最も長く、旗のような形を描いている。

カラー

スムースヘアーで述べたカラーと同様。

サイズと体重/重要とされる体の寸法

スタンダードダックスフンド=胸囲35cm 体重の上限 約9kg
ミニチュアダックスフンド=生後15ヶ月時で胸囲30~35cm
カニンヘンダックスフンド=生後15ヶ月時で胸囲30cmに達していること。
体重=スタンダードダックスフンド 約9kgに達していること。

欠点

これまで述べた点に該当しないものは、どのようなものでも欠点と見なされる。
その欠点の深刻さは、実際の程度で判断される。

M3(第3後臼歯)はジャッジの対象とされない。2PM(第1前臼歯)2本が欠落していても、ペナルティにはならない。
第2前臼歯1本の欠落が欠点とみなされるのは、第3後臼歯以外の歯がちゃんと生え揃っていても、正常なシザーズバイトの噛み合わせからずれている場合。

深刻な欠点

弱々しく長い足、安定しないボディー。
「欠点」や「削除されるべき欠点」の項目に挙げられた以外の歯の欠落。
ダップル以外の全てのカラーにおけるウォールアイ。
先がとがっている耳、ひどく折れ曲がった耳。
両肩の間に垂れ下がったボディ。
落ち込んだ背中、ローチバック。
弱々しい腰。
目立つほど高い腰部(臀部がキ甲部より高い状態)。
弱々しい胸。
グレイハウンドのような巻き上がった腹部。
著しく曲がった四肢。
細くてきゃしゃな後ろ足。
カウホック、または傾いた足。
極端に内側、あるいは外側に向いている足。
広がり過ぎている足の指。
重々しい動作、ぎこちない動作、よたよたした動作。

コートに関する欠点

スムースヘアーダックスフンド

著しくきめが細かく、細すぎるコート。皮膚(耳などの)や他の部分に見られるハゲ。
きめが粗く、毛が多過ぎるコート。
ブラシのような尾。
部分的、あるいは全体的に毛が生えていない尾。
マーキングが全く入っていないブラック。

ワイヤーヘアーダックスフンド

長さに関係なく柔らかい毛。
長く、ボディからあちこちに逆立つコート。
巻き毛やウェイブがかったコート。
ヘッドの柔らかい毛。
飾り毛のある尾。
あごひげの欠落。
アンダーコートの欠落。
短いコート。

ロングヘアーダックスフンド

全身長さが同じコート。
ウェイブがかかったり、もじゃもじゃしているコート。
飾り毛の無い尾。
両耳のまわりの飾り毛の欠落。
短いコート。
背中にそって分け目がくっきり入っているコート。
足の指の間から伸び出ている毛。

削除されるべき欠点

神経質過ぎたり、攻撃性の強すぎる性格。
オーバーショット、アンダーショット、歪な口(ライマウス)。
正しい位置に生えていない下顎の犬歯。
1本でも犬歯がない場合、1本でも切歯がない場合。
前臼歯や後臼歯がない場合。

*例外
「欠点」の項目で述べたように第3後臼歯は対象外として、第1前臼歯2本、第2前臼歯1本の欠落。

胸、胸骨が折れている。
尾にみられる欠点。
非常にしまりのない肩。
ナックリングオーバー。
マーキングの入っていないブラックカラー。
マーキングのあるなしを問わずホワイトカラー。
「カラー」の項目に記述されているカラー以外のカラー。
雄犬の場合は、陰嚢の下にちゃんと正常な睾丸が二つついていなくてはならない。