PRA(遺伝病・進行性網膜萎縮症)について

PRA(進行性網膜萎縮症)は目の遺伝病です。
発症すると網膜が萎縮、変性し、最終的には失明してしまう恐ろしい病気です。
進行性ですので徐々に病状は悪化して行くのですが進行の程度は個体差があります。

発症年齢も個体差がありますので早い子で数ヶ月から発症してしまいます。
発症してしまうと進行を遅らせる事はある程度可能ですが完治は不可能です。

発症の初期段階では夕方、夜等、暗い所で目が見え辛くなり物にぶつかってしまったり、暗闇での活動や夜の散歩を嫌がる等の症状(夜盲症)が見られます。
現在ではPRAを発症させてしまう遺伝子が発見されており、遺伝子検査によって子孫にPRAを遺伝、発症させない事が可能になりました。

日本にいるダックスの多くがPRAの危機にさらされているのが現状です。
これ以上不幸な子を増やさない為にも遺伝子検査をし、PRAが発症しないよう繁殖して行く事がブリーダーの務めだと思います。

PRA(進行性網膜萎縮症)の遺伝のしくみ

PRAの遺伝子検査では下記3つの内いずれかの結果が得られます。

(1)クリア(ノーマル)については発症の危険性はありません。
(2)キャリアについては発症の危険性はありませんが交配時に注意が必要です。
(3)アフェクテッドは発症します。発症前に白内障や寿命が来る場合があり、PRAの判断が難しい場合がありますが遺伝病ですので繁殖するのは基本的に控えましょう。

上図の通り、クリア同士の繁殖ではクリアしか生まれません。一番理想的な交配と言えます。

キャリアはクリア(ノーマル)との交配以外はアフェクテッドの危険性がありますのでクリア(ノーマル)の相手を選びましょう。
それ以外は禁忌の組み合わせとなりますので繁殖してはいけません。

アフェクテッドを用いての繁殖も相手がクリア(ノーマル)以外は繁殖してはいけません。
生まれてくる子供が全てキャリアになりますので、発症の危険性はありませんがクリア(ノーマル)の子を作るまでに時間と運を必要とします。
余程の理由が無い限りはアフェクテッドの子を繁殖に使うのはやめましょう。

日本は頭数で言えば世界一のダックス大国になりました。
知識の無い方が知識の無いままに繁殖したり、何も考えていないブリーダーが儲けに走って乱繁殖を行ってきたのも事実です。
その結果、日本のダックスはPRAはもちろんの事、それ以外の遺伝的疾患を持って生まれた子犬がたくさんおります。

野生の動物ならば自然淘汰と言う厳しい環境の中で、より良い遺伝子を後世に残して存在しておりますが、犬の生殖に関してはほとんど人間の手に委ねられております。

ブリーダーと言う職業はそういう事も踏まえ、様々な事を勉強し人と犬の将来を考え、繁殖活動を行っていくべきと考えます。