【目次】

  1. 純血は悪?雑種こそ健康?という“わかりやすい二項対立”の危うさ
  2. 純血種とはそもそも何か?その意義とは?
     └ 見た目の統一性ではなく「機能美」としての犬種
     └ 人間と犬の共進化の中で生まれた“役割”としての品種
     └ スタンダード(犬種標準)が意味する「犬種の保存」という概念
  3. ミックス犬(雑種)が増えたら、未来はどうなる?
     └ 血統管理・構成ができなくなると何が起こるのか?
     └ 遺伝的健全性の“可視化”が難しくなるリスク
     └ 「今さえ良ければいい」という繁殖・流通の構造的な問題
  4. 既に犬を飼っている人にこそ問いたいこと
     └ 雑種・純血種のどちらの飼い主にも共通する「未来につなぐ選択」
     └ 血統を意識すること、意識しないことの意味
     └ 飼い主として「犬種保存」という視点をもつとは何か
  5. 「保護犬=正義」「ブリーダー=悪」の空気に潜む違和感
     └ 感情と構造を分けて考えるという視点
     └ 悪質繁殖とトラストブリーダーの決定的な違い
     └ 「生まれる前の責任」が問われるべき理由
  6. 未来に犬を残すために、今わたしたちができること
     └ 「選ぶ」という行為に込められる意思
     └ 犬種を守ることは文化と命を守ること
     └ 「血統」と「幸せ」は両立できる
  7. トラストブリーダー・シルトクレーテの考える「犬種保存」と「健全性の未来」

純血は悪?雑種こそ健康?という“わかりやすい二項対立”の危うさ


「純血種って、なんだか時代遅れじゃない?」
「雑種の方が健康って聞いたことある」
「血統にこだわるなんて、人間のエゴじゃないの?」

近年、こうした意見を目にすることが増えました。保護犬を迎えることへの共感や、悪質な繁殖業者への問題意識が高まる中で、「純血種=悪」という、ある種の“空気”すら生まれています。

しかし、果たしてそれは本当に「犬の未来」を考えた意見なのでしょうか?

この記事では、「純血種がなぜ今こそ必要なのか?」を軸に、感情論ではなく事実と視点の整理を通して、「犬を未来に残す」ということの本質について考えていきます。


純血種とはそもそも何か?その意義とは?

見た目の統一性ではなく「機能美」としての犬種

多くの人が誤解していますが、純血種とは単に「同じ見た目を持った犬たち」ではありません。犬種というのは、長い年月をかけて特定の目的や環境に適応するよう作出されてきた“機能的な設計”です。

たとえばダックスフンドなら、細長い胴体と短い足は、アナグマなどの巣穴に潜り込んで狩りをするための形。つまり、見た目の“かわいさ”は副産物であり、本質は「役割」にあります。

人間と犬の共進化の中で生まれた“役割”としての品種

純血種は、ただの“ブランド”ではありません。人間と犬が共同で暮らしてきた長い歴史の中で、「仕事仲間」「生活のパートナー」として生まれてきた存在です。

牧羊犬、猟犬、番犬、愛玩犬…。それぞれの品種が果たしてきた役割には、人間社会の知恵と願いが詰まっています。

スタンダード(犬種標準)が意味する「犬種の保存」という概念

犬種には「スタンダード(犬種標準)」というものがあります。これは“見た目”の基準ではなく、その犬種が何を受け継ぎ、何を守っていくべきかという、文化的・機能的な継承設計図とも言えます。

つまり純血種とは、「生まれた意味」も「未来に残す意義」も明確にされた存在なのです。


ミックス犬(雑種)が増えたら、未来はどうなる?

血統管理・構成ができなくなると何が起こるのか?

ミックス犬が増えること自体に問題があるのではありません。問題は、すべての犬がミックスになったとき、“何を残したいのか”が不透明になることです。

犬の体型、性格、運動量、病気の傾向などが見えにくくなり、繁殖も行き当たりばったりになってしまう。結果として、「犬という種」の多様性と健全性が失われていきます。

遺伝的健全性の“可視化”が難しくなるリスク

純血種であれば、血統情報をもとに遺伝性疾患のリスクを把握し、健全な個体を残すための選択的な繁殖(健全性のブリーディング)が可能です。

しかし雑種になると、親の情報や系統が曖昧なため、遺伝的な管理が難しくなります。健康に見えるのは“今だけ”かもしれず、未来に同じ健康状態を残せるかどうかは不透明なのです。

「今さえ良ければいい」という繁殖・流通の構造的な問題

ペットショップで売れるから、SNSで人気だから、という短期的な理由で“可愛い”ミックス犬が流通していく。その一方で、親犬は狭い繁殖場に押し込められ、遺伝管理もされずに使い捨てにされる──。

こうした構造が、結果的に「未来の犬の幸せ」を破壊するリスクにつながっているのです。


既に犬を飼っている人にこそ問いたいこと

雑種・純血種のどちらの飼い主にも共通する「未来につなぐ選択」

ここで大切なのは、今どんな犬を飼っているかではありません。
「次の世代に、どんな犬たちを残したいか?」という視点を持てるかどうかです。

純血種を飼っている方なら、その犬種の魅力をどう伝えるか。
雑種を飼っている方なら、“偶然の命”をどう受け止めるか。

どちらにも、未来への責任があります。

血統を意識すること、意識しないことの意味

血統というのは「優劣」ではありません。それは、犬が背負ってきた歴史であり、「どういう命の流れから来ているのか」を知ることでもあります。

意識することは“選別”ではなく、“継承”なのです。


「保護犬=正義」「ブリーダー=悪」の空気に潜む違和感

感情と構造を分けて考えるという視点

保護犬を迎えることは素晴らしい行為です。ですが、「だからブリーダーはすべて悪い」「純血種は買うものじゃない」といった単純な構造で片付けるのは、少し乱暴です。

問題なのは、命を“売ること”ではなく、“どう扱うか”。

悪質繁殖とトラストブリーダーの決定的な違い

悪質な繁殖業者は、命を“商品”として扱います。親犬の健康も、子犬の将来も考慮しません。

対して、トラストブリーダーは、「生まれる前の責任」と「生まれた後の暮らし」にまで深く関与し、犬種の健全性と家族の幸せを守ろうとします。

この違いは、数字にも価格にも現れません。ただ、犬の未来に対する姿勢として現れます。


未来に犬を残すために、今わたしたちができること

「選ぶ」という行為に込められる意思

犬を“迎える”ことは、命の流れに“参加する”ことです。
その選択が、未来にどうつながっていくのか──意識することから、すべては始まります。

犬種を守ることは文化と命を守ること

犬種は“文化遺産”です。
その保存には「人間の努力」が必要です。

残したい。繋ぎたい。そう思う人がいなければ、どんなに魅力ある犬種でも、50年後にはこの世から消えてしまうかもしれません。

「血統」と「幸せ」は両立できる

純血種を守ることと、犬の幸せを守ることは、決して矛盾しません。
それを両立させることが、これからの繁殖と飼い主の“あたらしい責任”だと私たちは考えます。

シルトクレーテの哲学・考え方でのまとめ

私たちシルトクレーテが考える「未来に犬を残す」ということには、血統の尊重健全性の追求、そして命の継承に対する責任が深く結びついています。
以下の3つの視点を大切にしています:

  1. “犬種を残す”という文化的使命
     犬は単なるペットではなく、人と共に暮らし、役割を果たしてきた存在です。私たちは、たとえば ダックスフンド のような明確な目的と歴史を持った犬種が、ただ可愛らしさだけで流行のまま消えてしまうことを望みません。犬種標準(スタンダード)や血統という設計図を尊重しながら、次世代にその“機能美”と命のつながりをつなげていくことが、文化と命を守ることになると考えています。
  2. 健全性を最優先にした繁殖とフォロー体制
     血統を守るだけでなく、犬の健康・性格・暮らし方を包括的に考えます。「見た目」「希少性」だけが基準となる繁殖は、未来の犬たちの健全な暮らしを脅かすと私たちは考えています。健康診断・遺伝的検査・親犬・子犬の育成環境・飼い主へのアフターフォローなど、すべてを一体として捉え、責任を持って繁殖・引き渡し・その後まで見守ります。
  3. 飼い主と共に未来をつくるパートナーとしての責任
     犬を迎えるということは、単にその瞬間だけを考えるのではなく、未来に何を残すかを考える選択でもあります。雑種・純血種を問わず、飼い主自身が「この犬種・この個体をどのように守り、どのように共に暮らしていきたいか」を意識することが大切です。私たちは、飼い主のその意思を支援し、パートナーとして寄り添うことを信条としています。

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