犬を飼っていると、多くの場面で耳にする「避妊・去勢手術は当然」という言葉。獣医師から「早めに手術したほうがいいですよ」と勧められた経験がある方も多いでしょう。一方で、インターネットでは「手術はかわいそう」「やらないほうが自然」といった声もあり、迷いや疑問を感じている方もいるはずです。
本記事では、避妊去勢を「当然の処置」として受け入れる前に、一度立ち止まって考えてほしい「犬の側の視点」からの情報をお届けします。メリットとされる点に潜む“人間都合”を明らかにし、犬の心と体の両面から見たリアルなデメリットについて深く掘り下げていきます。
Contents
【目次】
- 犬にとっての避妊・去勢とは?
┗ 避妊・去勢手術の基本的な目的とは
┗ なぜ「当たり前」になったのか? - よく語られるメリットと、その裏にある“人間側の都合”
┗ 病気予防・行動抑制などの論点を一つずつ検証
┗ 「飼いやすさ」と「健康」は別問題では? - 犬の心と体に及ぼす、避妊去勢の本当のデメリットとは
┗ ホルモンバランスと気質の変化
┗ 骨や関節への影響、寿命への影響は?
┗ 実際に“変わってしまった”子たちの現場から - それでも手術すべき場合とは?
┗ どうしても避けられない医療上の事情
┗ 多頭飼育・無責任な繁殖防止の社会的背景 - では、犬の幸せのために何を考えるべきか?
┗ 繁殖の現場から見える「避妊・去勢前提」の問題
┗ 本来の性ホルモンが果たしている役割とは
┗ 「飼いやすさ」ではなく「生き方」に寄り添う選択を - 避妊去勢を“当然”としない——私たちの考え方
┗ 「犬が本来の姿で生きること」を最優先に
┗ 30年の経験で見えてきた「デメリットしかない」という結論
┗ 本当のパートナーシップとは何かを見直す
犬にとっての避妊・去勢とは?
避妊・去勢手術の基本的な目的とは
避妊去勢手術とは、メス犬であれば子宮・卵巣、オス犬であれば精巣を取り除く外科手術のこと。主な目的は以下のとおりです。
- 望まない繁殖を防ぐ
- 生殖器系の病気の予防
- ホルモンに関連する行動の抑制(マーキング、攻撃性など)
しかし、これらはすべて「人間側が抱える問題」の解決に向けたものであり、犬自身が望んでいるわけではありません。
なぜ「当たり前」になったのか?
欧米では動物保護の観点から避妊去勢が普及し、そこから「望まない命を生まないために」という倫理観が日本にも輸入されました。さらに「飼いやすくなる」「病気予防になる」といったメリットがクローズアップされ、多くの人が深く考えずに選択するようになっています。
よく語られるメリットと、その裏にある“人間側の都合”
病気予防・行動抑制などの論点を一つずつ検証
確かに、避妊によって子宮蓄膿症や乳腺腫瘍のリスクが下がるとされています。去勢により前立腺の病気や攻撃性が軽減される例もあります。しかしそれはあくまで「発症するかもしれない」病気を「確実に防げる」とは限らず、リスク回避のための“保険”にすぎません。
また、行動面においても、ホルモンによる一部の問題行動が軽減される一方で、別の問題行動(不安感や抑うつ傾向など)が現れるケースも少なくありません。
「飼いやすさ」と「健康」は別問題では?
「手術をすれば落ち着いて飼いやすくなる」とよく言われますが、それは“人間にとっての飼いやすさ”であって、犬本来の行動や気質が変化することを正当化していないかという視点が欠けています。
犬の本来持つ性質やエネルギーを、手術によって強制的に変えることが果たして「健康的」なのでしょうか?
犬の心と体に及ぼす、避妊去勢の本当のデメリットとは
ホルモンバランスと気質の変化
性ホルモンは、単に生殖に関係するだけでなく、犬の精神状態や気質にも大きく影響します。避妊去勢によってこれらが絶たれることで、性格の変化や元気の喪失、依存傾向の強化などが見られることがあります。
これは、犬の「個性」が失われることにもつながりかねません。
骨や関節への影響、寿命への影響は?
最新の研究では、避妊去勢が骨格の成長や関節疾患に影響を与える可能性が指摘されています。特に成長前(1歳未満)に手術を受けた犬で、関節の異常や骨折のリスクが高まる傾向があることが分かってきました。
また、寿命についても「避妊去勢をした犬の方が長生きする」と一部では言われていますが、それはあくまで統計の一側面であり、ホルモンを失うことによる免疫系や代謝への影響も無視できません。
実際に“変わってしまった”子たちの現場から
30年以上にわたり現場で犬たちを見てきた経験上、避妊去勢後に「以前とはまったく違う犬になってしまった」と感じるケースは少なくありません。明るかった子が引っ込み思案になったり、活発だった子が無気力になったりと、その変化は一様ではありませんが、生き物としての活力が鈍る印象を持つことが多いのです。
それでも手術すべき場合とは?
どうしても避けられない医療上の事情
病気の予防ではなく、実際に病気が発症した場合や、再発のリスクが非常に高い場合など、手術が命を守る手段となるケースは当然存在します。このような場合は、獣医師と綿密に相談しながら慎重に判断する必要があります。
多頭飼育・無責任な繁殖防止の社会的背景
不適切な多頭飼育や野良犬の繁殖問題など、避妊去勢が「社会的な課題の抑制手段」として使われてきた歴史もあります。ただし、これらは本質的には飼い主の意識や繁殖管理の問題であり、すべての家庭犬に一律に手術を求める理由にはなりません。
では、犬の幸せのために何を考えるべきか?
繁殖の現場から見える「避妊・去勢前提」の問題
現代の犬社会は、「繁殖しないこと」が前提で動いています。ブリーダーの多くは「繁殖させない=避妊去勢すべき」という流れを黙認し、むしろ推進している状況です。しかし、本来繁殖とは、生命のバトンをつなぐ神聖な営みであり、それを一方的に断つ行為が本当に“犬のため”なのでしょうか。
本来の性ホルモンが果たしている役割とは
性ホルモンは、骨格や筋肉の発達、免疫機能、感情の安定など、多岐にわたる働きを持っています。避妊去勢はこれらを一気に断ち切るため、成長や心身のバランスに大きな変化を及ぼす可能性があります。
「飼いやすさ」ではなく「生き方」に寄り添う選択を
犬は人間と違い、自らの人生(犬生)を選べません。だからこそ、私たち人間が「犬の視点」でその選択を代行する責任があります。
“飼いやすさ”という軸ではなく、“その子がどう生きていくか”という視点で考えること。それが本当の意味でのパートナーシップではないでしょうか。
避妊去勢を“当然”としない——私たちの考え方
「犬が本来の姿で生きること」を最優先に
私たちは、犬が犬としての本能や生理的な仕組みを自然な形で維持して生きることを、何よりも大切にしています。避妊去勢は、その自然の流れを人為的に断ち切るもの。そのリスクを、もっと深く理解するべきだと考えます。
30年の経験で見えてきた「デメリットしかない」という結論
長年にわたり、数多くの犬たちと接してきた経験から言えることはひとつ。**犬にとって、避妊去勢に「メリット」はない。**あるのは、すべて人間の都合による“管理しやすさ”という視点のみです。
本当のパートナーシップとは何かを見直す
「私たちが犬の人生をどう導くか」は、単なるしつけや健康管理を超えた、深い倫理的な問いです。避妊去勢という一つの選択を通じて、改めて「犬と生きるとはどういうことか」を一人ひとりが見つめ直すきっかけになればと願っています。
Schildkrote の考え方 — 犬の“本質”を尊重する選択
私たち Schildkrote は、犬を「家族」や「ペット」という枠を超えて、「ひとつの生命として、自らの身体と心を持つ存在」として尊重します。だからこそ、避妊・去勢を「当たり前の処置」として安易に施すことには、強く慎重であるべきだと考えています。
- 性ホルモンには、生殖だけでなく、骨格の成長、筋肉の維持、代謝、免疫、そして犬の気質や行動に関わる重要な役割があります。これらを“安易に断つ”ことで、関節や骨格の問題、肥満、ホルモンバランスの乱れ、精神面の変化など、さまざまなリスクがあるという研究報告も増えています。
- さらに、手術は一度きり。元に戻すことはできず、「安易な選択」が犬のその後の人生、その子らしさを奪う可能性があるという責任を、私たちは重く受け止めます。
- だからこそ、避妊・去勢を検討する際には、一般的な「飼いやすさ」や「社会的な都合」ではなく――“その子がこれからどう生きるか”“どんな毎日を送るか”“本来の犬としての生理や欲求を尊重できるか”――を最優先に考えるべきだと考えます。
私たちは、もし可能であれば、“性ホルモンを維持したまま、責任を持って犬と暮らす選択”を支持します。それは安易な“手術前提の飼育”ではなく、犬の本質・命・尊厳を尊重する「本当の意味でのパートナーシップ」です。
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