「たかが歯のトラブルでしょ?」
そう思っていた飼い主さんが、一番驚くのが「歯周病が寿命にまで影響する」という事実です。
特にダックスフンドのような小型犬では、3歳を過ぎると8割以上が歯周病、またはその予備軍と言われています。
しかし、正直なところ——
「嫌がって歯磨きができない」
「何が正しいケアなのか分からない」
と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、
- ダックスフンドが歯周病になりやすい理由
- 歯周病と寿命の関係
- 嫌がられずに続けられる歯磨き習慣のつくり方
を、専門的かつ実践的に、やさしく解説していきます。
「うちの子の健康寿命を守るにはどうすればいい?」という疑問に、ぜひ最後までお付き合いください。
Contents
目次
- なぜ3歳で「8割が予備軍」になるの?
- 歯周病が寿命に影響するって本当?
- 歯周病の「サイン」はいつ現れる?
- 嫌がられずに歯磨きするにはどうすればいい?
- 続けられる人がやっている工夫とは?
- 放置せず、今できることから始めよう
1. なぜ3歳で「8割が予備軍」になるの?
「まだ若いから大丈夫」と思われがちな歯周病。ですが、現実はその逆です。
一部の調査では、3歳以上の犬の約80%が歯周病、またはその予備軍であると報告されています。
■ ダックスフンドはなぜ歯周病になりやすいのか?
ダックスフンドは以下のような理由で、特に歯周病リスクが高い犬種とされています:
- 小型犬特有の口の小ささ → 歯と歯の間に汚れがたまりやすい
- 顎の骨が細く、炎症が進行しやすい
- 長寿命であるがゆえに、慢性的な口腔トラブルが蓄積しやすい
つまり、見た目には元気でも、3歳を境に口の中では着実に“病気の芽”が広がっている可能性があるのです。
■ 歯周病の進行は静かに、でも確実に
歯周病は進行がゆっくりで、初期はほとんど症状がありません。
そのため「気づいた時にはかなり進んでいた」というケースが非常に多いのです。
2. 歯周病が寿命に影響するって本当?
歯周病が「寿命に関わる病気」だと言われる理由は、口腔内の炎症が全身に悪影響を及ぼすからです。
■ 歯周病が引き起こす“見えない”リスク
進行した歯周病では、歯ぐきの炎症部分から細菌が血管を通って全身に回ることがあります。
これにより、以下のような疾患のリスクが高まるとされています:
- 心内膜炎(心臓の内膜への感染)
- 腎炎(腎臓機能の低下)
- 肝機能障害
これらは、いずれも命に関わる重要な疾患です。
■ 「寿命が縮まる」のは本当に起きうること
人間の医療においても、歯周病と全身疾患の関連性は多くの研究で証明されています。
犬の場合も例外ではなく、特に慢性的な炎症状態が続くと、老化のスピードを早めるという報告もあります。
口腔ケアをおろそかにすることは、まさに「静かなる時限爆弾」を抱えているようなものなのです。
次は、「どうすれば早めに気づけるのか?」という飼い主の一番の関心ごとに進みます。
3. 歯周病の「サイン」はいつ現れる?
歯周病の怖い点は、「痛みや異変を訴えられない」犬にとって、飼い主が気づいた時にはかなり進行していることが多いということです。
でも、まったく気づけないわけではありません。
ここでは、飼い主が見逃しがちな5つの変化をご紹介します。
■ 飼い主が気づきやすい5つのサイン
- 口臭が強くなる
→「年齢のせいかな?」と思いがちですが、実は一番のサイン。生臭い、腐ったようなニオイがしたら要注意です。 - よだれが増える・粘つく
→通常よりもよだれが増えた、粘り気がある、泡が混じる…そんなときは口腔内に炎症がある可能性があります。 - 歯ぐきが赤い・腫れている
→歯の根元を見ると、赤く腫れたり出血していたら進行の兆候。 - 片側の歯だけで噛もうとする
→痛みがある側を避けている可能性。食べるスピードが落ちた時もチェックポイント。 - 顔や口のまわりを頻繁にこする・引っ掻く
→違和感や痛みを感じているサイン。見落としがちですが、重要な観察ポイントです。
■ 動物病院での定期チェックも有効
家庭では見えにくい歯の裏側や奥歯の状態、進行具合などは、獣医師によるチェックが不可欠です。
最低でも年1回の口腔検診を習慣にすると、早期発見・早期対処につながります。
次はいよいよ、「嫌がられずに歯磨きするにはどうすればいいか?」という最大の悩みに答えていきます。
4. 嫌がられずに歯磨きするにはどうすればいい?
歯磨きの重要性はわかっていても、「嫌がるからできない…」と悩む飼い主さんはとても多いです。
ですが、実は歯磨きは“いきなり磨かない”ことがコツです。
ここでは、段階的に慣れさせる方法と、ブラシが難しいときの代替ケアをご紹介します。
■ ステップ式で進める「嫌がられない歯磨きトレーニング」
犬にとって、口に何かを入れられるのは本能的に不快です。
だからこそ、“慣らす”ことが何より大切。以下の5ステップを、焦らずゆっくり進めましょう。
✅ ステップ1:口周りを触るのに慣れさせる
→ 毎日1分でもよいので、ほっぺや口の横をやさしくなでる。できたらご褒美。
✅ ステップ2:唇をめくる→ご褒美
→ 歯が見えるところまで唇をめくって、すぐ褒めて終わる。
✅ ステップ3:指にガーゼを巻いて触る
→ 指に濡らしたガーゼを巻いて、歯や歯ぐきにやさしく触れる。嫌がらなければOK。
✅ ステップ4:歯磨きペーストをなめさせる
→ おいしいペースト(犬専用)を指につけてなめさせる。「歯磨き=おいしい」が刷り込まれる。
✅ ステップ5:歯ブラシ登場(奥歯は無理しない)
→ 最後にやっと歯ブラシ。最初は1本だけでもOK。口の外から「ちょん、ちょん」と触れるところから。
1ステップずつ、数日〜1週間かけて進めるのが理想です。
「できたらたくさん褒める」ことを基本にしつつ、途中で嫌がった場合は“いったん中断して仕切り直す”というスタンスが大切です。
ただし、「嫌がったからやめる」を繰り返すと、“やればやめてもらえる”という誤学習を招く恐れもあるため、毎回ほんの少しでも「できた部分」を見つけて、そこで終える習慣をつけることがポイントです。
■ ブラシが難しいときの“代替ケア”も有効
どうしても歯ブラシが難しいときは、以下のようなケア用品も活用できます。
- デンタルガーゼ(指に巻いて拭くだけ)
- 歯磨きシート
- デンタルガム(天然素材・無添加のものを。粗悪な合成成分入りには要注意)
- 飲み水に混ぜる口腔ケアリキッド(原材料に注意)
ただし、「ブラシの代わり」にはなっても、「歯周病予防の本質的ケア」には限界があることも理解しておきましょう。
次は、歯磨きを「続けられる」ようになるための工夫をご紹介します。
5. 続けられる人がやっている工夫とは?
歯磨きは「やる気」よりも「仕組み」が大事です。
ここでは、無理なく続けるための“ちょっとした工夫”を紹介します。
■ 「毎日でなくてもOK」という柔軟な考え方
「歯磨きは毎日しなきゃダメ」と思い込むと、ハードルが上がり挫折につながります。
でも実際は、週3回でも歯周病予防に一定の効果があるという研究もあります。
- 「月水金だけ磨く」
- 「お風呂の日とセットにする」
- 「散歩後に1分だけ」など
“完璧よりも、ゆるく続ける”という意識が、最終的に最大の成果をもたらします。
■ タイミングを「ルーティン」にする
例えばこんな工夫も効果的です:
- テレビを見る前に歯磨き
- 夜のごはんの後にガーゼで拭く
- 犬用ベッドに入る前にひと磨き
時間や行動とセットにすると、飼い主も犬も“当たり前の習慣”として定着しやすくなります。
■ ご褒美と歯磨きセットを1か所に置く
- 歯ブラシ・ペースト・ガーゼ・ガムなどを一つのボックスにまとめる
- 終わった後すぐに「大好きなおやつ or おもちゃ」を与える
「歯磨きのあとに嬉しいことがある」と覚えてくれれば、歯磨き=嫌なものではなくなっていきます。
■ どうしても無理なら、定期的な“プロのケア”を活用
すべての犬が毎日、自宅で歯磨きを完璧にこなせるわけではありません。
そんなときは、動物病院での定期的な歯科チェックや、獣医師監修の「デンタルケア講座」を活用するのもひとつの方法です。
また、トリミングサロンやペットケア施設で行われる“日常的な歯磨きサポート”(ブラシ・ガーゼによる軽いケアなど)を上手に活用することで、ケア習慣のきっかけづくりにもつながります。
「自宅では月2回」「あとは年1回プロに任せる」という選択肢でもOKです。
次はいよいよ記事のまとめとして、「今できること」「すぐ始められる小さな一歩」について解説していきます。
6. 放置せず、今できることから始めよう
「歯磨きが大事なのは分かっているけど、うちの子は絶対に嫌がるし…」
「いざとなれば病院でキレイにしてもらえば大丈夫でしょ?」
そんなふうに思ってしまうのも無理はありません。
ですが、本当に犬の健康と寿命を守るには、“予防”こそが唯一の確実な手段だということを、まずは知ってほしいのです。
■ 今すぐ始められる、3つの小さなステップ
- 口のまわりを触る練習をする
→ 歯ブラシを使う前に、“触られることに慣れる”のが最初の一歩。 - 歯みがきペーストを指につけて舐めさせる
→ 美味しいと感じれば、ケアが「ごほうび」になります。 - “毎日”じゃなくてOK。まずは週2〜3回から
→ 完璧を目指すより、「続けられる習慣」のほうがずっと大切です。
歯石除去に頼る前に、知っておきたい現実
もし歯石がすでに目立つようになってしまったら、多くの飼い主さんが「病院でスケーリングすればいい」と考えます。
たしかに、獣医師による専門処置は必要な場合もあります。
ですが——
私たちSchildkroteは、“スケーリングありき”の考え方には慎重です。
スケーリングは万能ではありません
一般的に行われる「スケーリング」は、超音波や手動の器具を使って歯石を取り除く処置ですが、
・不適切な処置や、ポリッシング(仕上げ研磨)を省いた場合には、歯の表面(エナメル質)に細かな傷がつく可能性がある
・その結果、再び汚れが付着しやすくなることもある
・また、多くの場合、安全に処置を行うために全身麻酔が必要となり、その分リスクも伴う
という注意点があります。
実際に、若く健康な犬であっても、麻酔処置中に命を落としてしまったという非常に悲しい事故も報告されています。
今、選ばれつつある“より犬にやさしい方法”とは?
最新の動物歯科では、以下のようなより低侵襲・エナメル質を守る処置を導入する動物病院も増えています。
- 超音波スケーラーでの短時間処置
- 手動器具との併用による精密なアプローチ
- ポリッシングでの再付着予防(※慎重な実施が前提)
しかしながら、安全性や効果は、すべて「獣医師の技術と判断」に大きく左右されるという現実があります。
また、「無麻酔での歯石取り」や家庭用の超音波機器などについては、麻酔のリスクを避けられるという点で魅力的に感じるかもしれません。
実際、状態によっては無麻酔でも対応できるケースがあるのは事実です。
ただし、歯や歯茎の状態、犬の性格、痛みへの反応などによっては、エナメル質を傷つけたりストレスを与えるリスクが高くなることもあります。
大切なのは、「無麻酔か麻酔か」ではなく、その子にとって最も安全で、最も負担の少ない方法を選ぶこと。
処置そのものよりも、“どう判断し、どう準備するか”が鍵になります。
犬の歯石除去方法の比較表(要点)
| 処置方法 | 安全性 | 特徴 | 麻酔 |
|---|---|---|---|
| 超音波スケーリング | 比較的安全(獣医実施) | 短時間で奥まで対応可能 | 必要 |
| 手動スケーリング | 技術に依存 | 繊細な対応が可能 | 必要 |
| ポリッシング | 条件次第で有効 | 表面を滑らかに保つ | 必要 |
| 自宅ケア | 最も安全 | 予防効果が最も高い | 不要 |
| 無麻酔スケーリング | 推奨されない | 見た目だけ、リスク大 | 不要 |
だからこそ、「予防」に勝る方法はない
スケーリングや歯石除去処置を全否定するわけではありません。
けれど、本当に大切なのは「そこまで悪化させない」こと。
愛犬にとって一番やさしいのは、麻酔も器具も使わずに済む“予防の積み重ね”なのです。
歯みがきは、今日この瞬間から始められる「命のケア」
あなたの手で、今日から少しずつ始めてあげてください。
小さな積み重ねが、愛犬の未来を大きく変えていきます。
シルトクレーテファミリーの皆様におかれましては、歯の状態に関して気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
一頭一頭の状態を丁寧に確認したうえで、最も負担の少ないケア方法を一緒に考えてまいります。
なぜ、賢い愛犬家は「プロが12ヶ月育成した」成犬ミニチュアダックスを選ぶのか?
実は、しつけがうまくいかない原因は、あなたのやり方ではありませんでした。
「生後2〜3ヶ月で迎える」という、日本の常識そのものに無理があったとしたら?
「プロに12ヶ月育ててもらう」という新しい選択肢を、まずは知ってください。




