Contents

1. ダックスフンドという犬種を理解する

● 狩猟犬としてのルーツ

ダックスフンド(Dachshund)は、ドイツ語で「アナグマ犬(Dachs=アナグマ、Hund=犬)」を意味し、地中にいる獲物を追って捕らえるために作出された犬種です。

胴長短足の体型は単なる個性ではなく、狭い巣穴に潜り込むための合理的な形であり、胸の深さや前肢の筋肉、首の可動域もすべて「実用性」をベースに設計されています。

現在でもFCI(国際畜犬連盟)やJKC(ジャパンケネルクラブ)では、ダックスフンドを“狩猟犬グループ”に分類しており、作業能力を重視した犬種であることが強調されています。


● 種としての本質と犬質の違い

小型で家庭向きなイメージがありますが、本来のダックスフンドはとても運動能力が高く、勇敢で知的、時に頑固な気質を持つ犬です。

特にドイツ純血のラインは、「動ける犬」であることを前提とした繁殖がなされており、構成(骨格)・動き・気質すべてにおいて“実用性と健康”が追求された血統です。

そのため、見た目に惑わされず、正しい理解と育成方針が必要となる犬種だといえるでしょう。


● サイズバリエーションとその判断基準(JKC・FCI共通)

日本の犬籍登録を担うJKCでは、ダックスフンドのサイズを以下のように分類しています。

※体重ではなく胸囲による判定が標準化されています。

分類測定基準胸囲(オス)胸囲(メス)判定時期
カニンヘン生後15ヶ月+1日時点の胸囲32cm以下30cm以下ミニチュア → カニンヘンへ変更可能
ミニチュア生後6ヶ月+1日時点の胸囲32cm超30cm超カニンヘン → ミニチュアへ変更可能

子犬の登録時は、親犬のバラエティ(サイズ)に基づき登録されますが、成長後の実測により「バラエティ変更」が可能です。


● 見た目以上に“本質”を理解する

可愛らしい見た目とは裏腹に、判断力・記憶力・運動能力のすべてに優れた犬種です。

特に「飼い主の指示をなぜ聞くのか?」をよく観察し、信頼関係がないと指示に従わない一面もあるため、迎える際には「育てがいのある犬」として向き合う必要があります。


✅ このセクションのまとめ

特徴項目内容
本来の役割アナグマ猟・地中作業向けの狩猟犬
特徴胴長短足/勇敢/好奇心旺盛/高運動能力/独立心あり
サイズ判定基準体重ではなく「胸囲」による測定。成長後にバラエティ変更可能
純血の魅力ドイツ系は特に動き・構成・気質に優れ、家庭犬としても実にバランスが良い
飼育上の注意点可愛さに惑わされず、犬の本質(気質・運動能力)に即した環境と関わりを持つ

2. 基本的な接し方としつけの考え方

● 信頼関係の構築がすべての土台

ダックスフンドのしつけにおいて最も大切なのは、飼い主がリーダーであることを犬が理解することです。
これは一度の指示やトレーニングで得られるものではなく、日々の接し方、態度、そして関わり方の積み重ねによって築かれます。

犬が飼い主に「気を遣う」ことができる関係は、信頼と尊敬に基づいた健全なパートナーシップです。
多くの家庭では飼い主側ばかりが気を遣ってしまいがちですが、理想は“お互いが気を遣える存在であること”。
これは主従関係ではなく、快適な共生のためのバランスなのです。

  • 要求には基本的に応えない(飛びつき・おねだりなどは無視する)
  • 一貫性のある態度を貫く(その場限りの対応を避ける)
  • 誉める・叱るは明確に(曖昧な反応は逆効果)

こうした基本姿勢が犬にとっての「安心」になり、信頼を深める土台となります。


● 運動能力に見合った活動量を確保する

ダックスフンドは小型犬という印象とは裏腹に、非常に優れた運動能力とエネルギーを持つ犬種です。
そのため、静かに過ごすだけでは心身のバランスが崩れやすくなります。

理想的な運動量の目安:

  • 毎日の散歩:1回30分程度が理想
  • たまにでもOK:思い切り走れる環境(ドッグランやロングリードなど)
  • 悪天候時などは室内での知育遊び・軽いトレーニングで代用可能

大切なのは、“量”よりも“質”。
単に歩かせるだけではなく、「飼い主と一緒に取り組む活動」によって、犬はより深く満足感を得られます。

散歩は義務ではなく、犬との関係を育む時間と考えると、日々のケアもより楽しくなるはずです。


● 育てる楽しさと責任を持って向き合う

ダックスフンドは非常に賢く、人の行動をよく観察する犬です。
一見頑固な性格も、実は「この人の言うことを聞く価値があるか?」を冷静に判断しているから。

だからこそ、子犬時代には以下のような基本をしっかり教えることが大切です:

  • 甘噛み、無駄吠え、飛びつきは初期にしっかりコントロール
  • 誉めるべきことは即座に誉めて定着させる
  • 他人・他犬・生活音などへの社会化を積極的に行う

多少やんちゃでも、噛まない・唸らない・人が好きな犬なら、それは大切な個性です。

正しく関わることで、育てることが“楽しさ”に変わる──
そんな犬との関係づくりを、ぜひ経験してみてください。


✅ このセクションのまとめ

ポイント内容
飼い主がリーダー犬に「従うべき相手」として認識されることが全ての土台
気遣える関係性飼い主ばかりが気を遣うのではなく、犬にも気遣いを育てる
運動の考え方散歩や室内での遊びは毎日行い、ドッグランなどでの発散は“たまにでもOK”
要求には応じない飛びつきやおねだりには基本的に反応せず、主導権を明確に
信頼関係を楽しむ育てることを義務ではなく“楽しい挑戦”として捉えると、より良い関係に育つ

3. 食事について(フードの考え方)

● 食べたもので身体はできている

犬の筋肉・骨・内臓・被毛・皮膚──そのすべては、日々の食事によって作られています
だからこそ、「何を与えるか」は、長く健康でいるための最重要要素のひとつです。

本来、犬はオオカミを祖先に持つ肉食寄りの雑食動物
その構造に沿って考えるなら、良質なタンパク質(=肉)を中心とした高タンパク・高品質なフードを選ぶのが基本です。

実際、当犬舎の長年の育種経験でも、こうしたフードを与えた犬は

  • 筋肉のつき方が明らかに違う
  • 被毛の艶・密度が非常に良い
  • 体力や免疫力が安定しやすい

といった“目に見える違い”がはっきりと見られます。

● 食べムラ・偏食への対応と「甘やかし」について

食事に関して、以下のような声をよく耳にします:

  • 「うちの子、ドッグフードを全然食べないんです」
  • 「食べないとかわいそうで、おやつや人のごはんをあげてしまって…」

これは気持ちは理解できますが、実は危険な習慣のはじまりでもあります。

犬がごはんを食べないからといって、
毎回別の食べ物を与えてしまうと、

  • 食べれば違うものが出てくると学習する
  • 自分で「食事を選ぶ」ようになり、極度の偏食になる
  • 結果的に必要な栄養素が不足し、内臓や骨、免疫にダメージが蓄積する

という負のループに陥るケースが少なくありません。

中には、若くして内臓疾患を発症し、寿命を縮めてしまう子もいます。



● 解決策:「ごはんを食べるのは当たり前」という習慣をつける

偏食・食べムラを防ぐには、生活ルールの明確化が何より大切です。

以下のような習慣づけをおすすめします:

  • 数分以内に食べなければ、淡々と片付ける
     →「出されたものを食べないと次はない」と教える
  • ごはんを完食したら、おやつを与えてしっかり誉める
     →「ちゃんと食べれば嬉しいことがある」と学ばせる
  • 間食を減らし、主食にしっかりお腹を空かせる
  • 与える側が「心配よりも信念」を持って一貫して対応する

犬は環境と習慣に非常に敏感な動物です。
“甘やかし”ではなく“信頼とルール”で接すれば、自然と「食べるのが当たり前」な習慣が身についていきます。


✅ このセクションのまとめ

項目内容
食事の重要性骨・筋肉・被毛・内臓などすべては「日々の食事」で作られる
食材の選び方高タンパク・高品質な肉を中心に、原材料と栄養設計に注目する
偏食の原因食べなければ他が出るという学習/甘やかしによる選り好み
改善策数分以内に片付ける/完食後におやつを与えて成功体験を積ませる
長期的効果健康・体力・免疫力・寿命すべてに良い影響を与える、育成の要

4. 水と水分補給について

● 水は「最も基本的な栄養素」

犬の体は約60〜70%が水分で構成されています。
筋肉・血液・内臓・皮膚・被毛…あらゆる生命活動の基盤として、水はフード以上に重要な「栄養素」と言える存在です。

水分が不足すると、代謝機能・消化吸収・解毒・免疫系に悪影響が及び、慢性的な体調不良につながります。


● 日本の水道水は「安全」なのか?

日本の水道水には、法律で義務付けられた殺菌処理の一環として塩素(カルキ)が使用されています。
見た目は透明で問題なく見えますが、塩素は本来、強い酸化作用を持つ化学物質であり、決して無害ではありません。

  • 人間には「基準値内」であれば安全とされているが…
  • 体の小さな犬には、腸や内臓への慢性的なストレスとなる可能性がある
  • 「無味無臭」に感じても、犬の嗅覚には明確に刺激として伝わっていることも

● 塩素とトリハロメタン(THMs)のリスク

塩素は水中の有機物と反応することで、副生成物であるトリハロメタン(THMs)を生み出します。
トリハロメタンは発がん性や肝臓・腎臓へのダメージが懸念される化学物質の一つであり、犬の健康に長期的な悪影響を及ぼす可能性があります。

トリハロメタンは、「塩素」と「水中の有機物」が反応することで常温でも発生します。
さらに煮沸などで加熱した際に濃度が高まる傾向があるため、中途半端な加熱処理はむしろ逆効果になることもあります。


● 煮沸除去は「安全」ではない?

「塩素を飛ばすために水を煮沸する」という方法が一般的ですが、正しい時間・方法でなければ危険性を高めてしまう可能性があります。

● 正しい煮沸の目安:

  • 沸騰した状態を10〜15分以上持続
  • これにより塩素はほぼ完全に揮発し、トリハロメタンの発生も抑制可能

● 中途半端な煮沸の危険性:

  • 2〜3分など短時間の加熱は、塩素が完全に抜けず、逆にトリハロメタンの生成を促進
  • 水中の酸素も失われ、水が「酸化=劣化」してしまう

煮沸は「確実に長時間行える場合にのみ」有効な方法です。
それ以外はむしろ避けた方が無難です。


● 安全な水を与えるための現実的な選択肢

犬に安心して与えられる水として、次のような方法をおすすめします:

方法解説
高性能な家庭用浄水器活性炭+中空糸膜などで塩素や有機物を除去。水道水がベースでも安心。
浄水ポットや浄水ボトル市販のペット用や人用の製品で、手軽に塩素対策可能。
ナチュラルミネラルウォーター(硬水)成分が明記されたものを選び、日常的に与える水としても適切。

● 硬水(マグネシウム)の利点と当犬舎での実感

当犬舎では、硬度300ppm前後(100ml中マグネシウム約30mg)の中〜硬水を15年以上与え続けています。
その中で以下のような体感的なメリットが得られています:

  • 骨格がしっかり育ち、成長後の骨密度が安定
  • 関節が強くなり、走る動きの安定性向上
  • 筋肉の張りや被毛の艶が明らかに良好に

● 科学的な補足:

  • マグネシウムはカルシウムの吸収を助ける必須ミネラル
  • 単独のカルシウム摂取では骨形成が不十分
  • 筋肉・神経の正常な働きにも不可欠な要素(不足・過剰どちらにも注意が必要)

● 水をあまり飲まない犬への対策

犬が自発的に水を飲まないと感じる場合は、以下のような工夫が効果的です:

工夫のポイント内容
水の味・香りを調整乳酸菌パウダーやヤギミルクパウダーを微量混ぜる
器を変える陶器やステンレス、床からの高さなどで嗜好が変わる場合あり
時間帯を意識する食後や散歩後、運動後は飲みやすくなる傾向
食事で水分補給ウェットフード、フードをふやかすなども有効

✅ このセクションのまとめ

項目内容
水の重要性体の約60〜70%が水分で構成され、全身の代謝・免疫・排泄に必須
日本の水道水の問題塩素+有機物 → トリハロメタンが生成されるリスクあり
煮沸のリスク10〜15分未満の加熱は逆に有害物質が増える可能性がある
安全な水の選択肢浄水器・市販の浄水ボトル・ナチュラルミネラルウォーター
硬水の利点骨・関節・筋肉・神経・代謝に良い影響あり(マグネシウム効果)
飲水対策水の種類・器・味・時間帯の工夫で「飲みやすい環境」を用意する

5. おやつと栄養補助

● おやつ=“ごほうび”以上の意味を持つ存在

おやつは単なる嗜好品ではなく、日々のコミュニケーションやしつけ、体づくりにおいて重要な役割を果たします。
選び方・与え方次第で、健康にも影響を与えるため、意識的に活用することが大切です。


● フリーズドライのおやつは“高栄養食品”に近い

当犬舎では、原材料の良さ・加工方法の優秀さから、以下のようなおやつを推奨しています:

  • 肉や魚、内臓などをフリーズドライ加工したもの(添加物不使用)
  • 原材料が国産・ヒューマングレードであること
  • 無駄な糖分・塩分・穀物を含まないもの

これらは、嗜好性が高いだけでなく高タンパク・高ミネラルで、栄養補助食品に近い役割を果たします。


● 「噛む力」を育てることの重要性

特に成長期において、“噛む”という行動は非常に重要です。

  • 歯の生え変わり時期(3〜6ヶ月)に、硬さのあるおやつを与えることで歯並びや顎の発達を促します。
  • 噛むことで唾液が分泌され、口腔内が清潔に保たれるため、歯石予防にもつながります。
  • アゴの筋肉の発達は、顔つきや表情にも影響します。

ただし、牛のひづめや骨のように極端に硬いものは歯を欠くリスクがあるため、適度な硬さのものを選ぶことが大切です。


● 与え方の注意点とバランス

どれほど栄養価が高くても、「おやつ」はあくまで補助的な位置づけです。

  • 主食(ドッグフード)からの栄養バランスが崩れないように調整する
  • 与える量の目安は「1日の総エネルギーの10%以内」
  • 必要以上に与えたり、犬がねだってきたからといって無条件にあげるのではなく、
    しつけや運動のあとなど、“犬が努力したこと”に対するごほうびとして与えるのが理想的です。

また、食べムラがある子には、フードを完食した直後にごほうび的に与えることで、「完食=良いこと」と関連づけることができ、偏食防止にも効果的です。


● 甘やかし=偏食の原因に

「食べないから他のものを与える」の繰り返しは、犬の栄養バランスを崩し、偏食を助長させます。

最終的には免疫力の低下や病気のリスク、若年死亡の原因にもつながりかねません。

【対策】

  • 決めた食事を数分で片付ける(いつまでも置かない)
  • 食べなければ下げる → 次の食事まで与えない
  • 食事後におやつで報酬づけ(正しい食事をした後の満足感を与える)

こうしたルールを一貫して実施することで、犬は「今食べないと食べられない」という意識を持つようになります。


✅ このセクションのまとめ

項目内容
おやつの役割ごほうび・しつけ・栄養補助・口腔ケアなど多用途
おすすめフリーズドライ加工の肉・魚系、無添加、ヒューマングレード
噛む意義歯・顎・表情筋の発達、唾液分泌による口内環境改善
与えすぎ注意1日カロリーの10%目安。主食の妨げにならないように
偏食対策食べない時はすぐ下げる、食後のおやつ報酬が効果的

6. サプリメントの考え方と活用法

● サプリメント=“魔法の粉”ではない

まず前提として、サプリメントは栄養の補助的な手段であり、「体調が悪いから飲ませれば良くなる」といった即効性や万能性を期待するものではありません。

本来の目的は、食事では補いきれない微量栄養素や機能性成分を日々の健康維持や予防の観点から補うことにあります。


● 高品質フードを与えていれば原則“不要”

当犬舎では、トップクラスの高タンパク・高品質なフードを与えています。
これらのフードは必要な栄養設計がなされており、通常の健康な子犬や成犬には、追加のサプリメントは基本的に必要ありません

むしろ、サプリの過剰摂取は臓器に負担をかけるリスクもあるため、無暗に取り入れることは避けるべきです。


● ただし「吸収できなければ意味がない」

どれほど良いフードを与えていても、それを正しく吸収できなければ効果は半減します。

特に、腸内環境が乱れている子は…

  • 便が緩い/匂いが強い/消化が悪い
  • 毛艶が悪い/皮膚トラブルが出やすい
  • 食が細い/太りにくい/逆に太りやすい

などの問題を抱えがちです。


● 腸内環境の鍵=「乳酸菌」や「発酵微生物」

腸の状態を整えるサプリメントとして、以下が効果的です:

  • 乳酸菌(動物用に設計された生菌)
  • 酵母菌・納豆菌・麹菌などの発酵系サプリ
  • 酪酸菌・ビフィズス菌などの腸管ケア成分

これらはフードと一緒に少量加えることで、腸内フローラの多様性を保ち、免疫力・栄養吸収率・代謝バランスの向上に寄与します。


● 小さいうちから腸を整えることの重要性

当犬舎では、離乳食期から腸内環境の整備に配慮しており、小さい頃からの「腸を強くする育て方」が、将来的な健康と長寿につながると考えています。

成犬になってからトラブルが出る前に、小さいうちから整えておくことが、病気を“防ぐ”ための最大のポイントです。


● こんなときに活用すると効果的

状況活用の目安
食が細い乳酸菌で胃腸の働きを整えることで改善することも
ワクチン接種後/下痢やストレス後善玉菌の補充で免疫力を支える
アレルギーや皮膚トラブルがある腸からの毒素排出をサポート
老犬・持病持ち吸収率が落ちた体にやさしく届く補助策に

✅ このセクションのまとめ

項目内容
サプリの役割食事で足りない栄養・機能性成分を補う補助食品
必要性高品質フードなら原則不要。むやみに使わない
腸内環境の大切さ吸収・免疫・代謝すべてに関わる「健康の土台」
有効な成分例乳酸菌・酪酸菌・発酵菌・微生物系サプリなど
与える時期離乳期〜成犬期から継続的に取り入れるのが理想

7. 健康管理とケア習慣の基本

ダックスフンドの健康を守るためには、日々の観察と継続的なケアが欠かせません。特に胴長短足の体型は、関節や腰への負担がかかりやすいため、小さな変化に気づけることがとても重要です。


● 定期的にチェックしたいポイント

部位チェック内容理想の頻度
白目の濁り・目やに・充血毎日
汚れ・臭い・痒がる様子週1〜2回
歯の汚れ・歯茎の色・口臭毎日〜週2
被毛・皮膚フケ・ベタつき・毛艶・脱毛毎日
肛門腫れ・こすりつけ動作・臭い毎日
便色・硬さ・異物・血液など毎日
爪・足裏伸び具合・割れ・乾燥週1(散歩が多ければ自然に削れることも)

● ワクチン・フィラリア・ノミダニ予防

予防医療は“命を守る最低限の備え”です。ただし、犬の健康状態や生活環境に応じた適切な選択が必要です。

項目推奨頻度補足
混合ワクチン必ずしも毎年必要ではありませんが、施設利用(ペットホテル、ドッグランなど)では証明書の提示を求められる場合があるため、どうするかは飼い主判断です。
狂犬病ワクチン年1回(法定義務)登録も必要です。
フィラリア予防月1回(4〜12月)地域差あり/投薬前に血液検査を行うのが一般的。
ノミ・マダニ予防月1回(通年推奨)特に草むらや公園を散歩する犬は必須。

● 日常のケア習慣を作る

子犬のうちからケアに慣れさせることで、成犬になってからのトラブル(嫌がる・暴れる・病院通いのストレス)を大きく減らすことができます。

ケア項目理想の頻度備考・注意点
ブラッシング毎日できれば理想毛質に合ったブラシ選びが大切。親しみの時間にも。
歯みがき毎日〜週3回歯石・口臭・歯周病予防に効果的。子犬期から慣らす。
爪切り月1回が目安散歩が多ければ自然に削れることも。音や歩き方で確認。
足裏カット月1回肉球周りの毛が伸びると滑りやすくなるため注意。
肛門腺絞り月1回〜絞れない場合はトリマーや獣医に相談。
シャンプー月1回頻繁すぎると皮膚を痛めるので控えめに。汚れた場合のみ臨時で対応可。

✅ このセクションのまとめ

項目内容
観察習慣体調の変化を見逃さないための“毎日の目”が大切
予防医療ワクチンは施設利用の有無なども含めて判断を。その他は原則通年対策を推奨
ケアの習慣化子犬のうちから「ケア=快適」を覚えさせることが将来のストレス予防になる
過剰ケアの回避シャンプー・爪切りなどは適度な頻度が皮膚や関節の健康に繋がる

8. 社会化と問題行動の予防

ダックスフンドは、頭が良く感受性が高い犬種である反面、怖がりやすく、防衛本能が強く出ることもあります。

これを「吠えやすい・噛みやすい」と誤解されることがありますが、正しい社会化と環境づくりで大きく変わります。


● 社会化期(3〜14週齢)は一生を左右する大事な時期

生後3〜14週齢は「社会化期」と呼ばれ、この時期に経験する刺激(音・人・他犬・環境など)がその後の性格や行動に大きな影響を与えます。

項目内容
接する人性別・年齢・服装が違う人に慣れさせる
インターホン、掃除機、車、花火など様々な音に触れさせる
場所公園、住宅街、動物病院などを安全に散歩や抱っこで体験
他の動物他の犬や猫との「安全な距離での接触」が◎(いきなり接触はNG)

この時期に経験が乏しいと、成犬になってから恐怖心や警戒心が強くなりやすくなります。



● よくある問題行動とその予防・対処法

行動主な原因予防・対応策
吠える警戒心・要求・退屈・不安社会化、十分な運動、飼い主が無反応でスルー、落ち着いたタイミングで褒める
噛む不安・恐怖・遊びのつもり・我慢できない怒り(衝動性)子犬期に「甘噛みはNG」と教える、人の手で遊ばない、落ち着いた環境を整える、興奮を煽らない
飛びつく興奮・嬉しさ・構って欲しい無視して反応せず、座ったら撫でる・遊ぶなど、落ち着いた行動に対してご褒美を
トイレの失敗環境・不安・トレーニング不足叱らずに場所とタイミングを整える、成功したら即座に褒める、安心できるトイレ環境を用意


● 飼い主が“優しいだけ”ではいけない

甘やかして何でも要求に応じると、犬が主導権を握り「気を使わない犬」になります。

本当に良い関係とは、「お互いに気を使い合える」関係です。

犬は「この人の前では落ち着いた行動をとろう」と学習し、飼い主も犬の気持ちや行動をよく観察することで、主従関係ではなく“信頼関係”を築くことができます。


● 子犬の社会化が間に合わなかったら?

保護犬や、社会化不足の子犬を迎える場合もあると思います。

その場合でも焦らず、時間をかけて少しずつ刺激に慣らしていくことで、十分に信頼関係は築けます。

「嫌がることを無理にやらない」「飼い主が落ち着いていること」が最大のサポートになります。


✅ このセクションのまとめ

項目内容
社会化期生後3〜14週の経験が、その後の性格を左右する
問題行動の防止環境・接し方・遊び方次第で大きく改善可能
信頼関係の本質「犬に気を使わせる」ことは信頼の証でもある
対応力社会化不足の子も時間をかけて慣らすことができる

9. 老犬期のケア:シニアになってからも健やかに暮らすために

● 老化のサインと気づき方

ダックスフンドは個体差はあるものの、7歳ごろからがシニア期の入り口と言われます。以下のような変化が見られたら、生活環境や接し方を見直すタイミングです。

  • 散歩のペースが遅くなる・疲れやすくなる
  • 視力・聴力の低下(呼んでも反応が鈍い)
  • 白髪、被毛のパサつき
  • 寝ている時間が増える
  • トイレの失敗が増える
  • 夜鳴きや徘徊(認知症の初期症状)

● 老犬に適した運動・生活リズム

高齢になると、関節や心肺機能の衰えにより、若い頃と同じ運動量は必要ありませんが、適度な運動は必須です。

項目ポイント
散歩毎日短時間でもOK。外の空気と光を浴びることが刺激に。滑らない地面で、急な坂や段差を避ける。
室内運動おもちゃでの軽い遊びや、知育マットで頭を使わせる工夫。無理なく続けられる範囲で。
クッション性高齢になるほど床に負担がかかるため、マットやベッドは柔らかさと安定性のあるものに。

● 認知症(犬の認知機能不全)の予防と対応

犬にも“認知症”があり、夜鳴き・徘徊・トイレの失敗・逆さまに歩くような動きが初期症状です。

対策の一例:

  • 昼間の活動量を意識して増やし、夜はしっかり眠れるようにリズムを整える
  • 夜間も安心できる明かりやBGMをつけておく
  • 不安を感じないように、環境を大きく変えないこと
  • 軽度のうちから、声かけや触れ合いで「脳の刺激」を与える

必要であれば、動物病院で認知症に効果のあるサプリや処方食を相談しても良いでしょう。

● 食事の見直しとサポート

  • 加齢により「噛む」「飲み込む」「消化する」力が落ちてきます。 
     → フードの粒を小さくしたり、ぬるま湯でふやかすなどの調整で、身体への負担を減らせます。
  • 市販の“シニア用”フードには、過度にタンパク質を抑えた設計も見られます。
     → しかし、筋肉や免疫の維持には良質なタンパク質が必要不可欠です。単に「高齢だからタンパク質を控える」のではなく、“消化吸収に優れたタンパク源”を適切に摂ることが老化予防につながります。
  • 肝臓・腎臓の数値が少し高いからといって、すぐに低タンパクの療法食に切り替えるのは早計です。
     → 一時的な数値変動か、体質によるものかを見極めることが重要です。“食事のせい”と決めつける前に、水分摂取の量・運動量・体調変化の全体像を見て判断するべきです。

老犬期におすすめのグッズ・床ずれ対策・介護用品

● 1. 移動や体位を支えるサポート用品

グッズ名用途・メリット
介護用ハーネス後肢の筋力が低下した際に、階段や段差の補助ができる。前後に取手があるタイプが◎
滑り止め付き靴下/ブーツ室内のフローリングで滑るのを防ぎ、転倒や骨折リスクを軽減
介助マット抱き上げるときの負担軽減。ベッドや車への移動時にも便利

● 2. 床ずれ(褥瘡)対策

高齢犬が長時間同じ体勢で寝ると、血流が滞り床ずれが発生します。特に骨の出ている箇所(腰、肘、かかと)に注意。

グッズ名特徴・使用ポイント
体圧分散マット/ベッド血行促進効果のある低反発 or 高反発ウレタン素材が最適
メッシュや通気性の高いカバー蒸れによる皮膚疾患を予防。夏場は特に必須
ポジショニングクッション体勢を変えるときに挟んで体圧を分散させる(人間の介護と同様)
マッサージブラシ軽くなでて血行を促進。スキンシップにも◎

ポイント:こまめに寝返りを促す、1日に数回「左右の体勢を変える」だけでも大きな予防になります。


● 3. 排泄・清潔サポート用品

グッズ名使用目的
介護用おむつ排泄コントロールが難しい場合に。サイズと通気性重視
ペットシーツ(厚手・抗菌タイプ)床が汚れた時の対応、寝床への敷き込みに便利
ノンアルコールウェットティッシュ被毛や皮膚の清拭に。刺激の少ないものを選ぶ
ドライシャンプー/泡タイプシャンプー体力が落ちてシャンプーできないときの代替ケア

● 4. 食事・水分サポート

グッズ名特徴
食器台(高さ調整可)首や腰に負担をかけずに食べやすいポジションを確保
シリコンスプーン/注射器タイプ給餌器自力で食べにくくなった際に活躍
ウェットフードメーカー水分量を増やしながら、嗜好性の高い食事を用意できる

● 5. 精神的なケア・安心感のために

グッズ名内容
安心音・環境音スピーカー不安軽減に。ヒーリング音や飼い主の声を録音できるものも
フェロモンスプレー/ディフューザー落ち着きを与える成分を含んだ製品(効果に個体差あり)
お気に入りの毛布やぬいぐるみ安心材料としての「匂い付きアイテム」

✔️ 飼い主の心構えとして…

  • 介護は完璧を目指さず、できる範囲で
  • 「犬が尊厳を持って過ごせること」が最も大切
  • 匂いや排泄の問題が出ても、怒らない・責めないこと
  • ケアを通して「ありがとう」の気持ちを日々伝えましょう

このセクションのまとめ

項目内容
身体の変化筋力・視力・聴力の衰え、関節や内臓への負担が増えるため、暮らし方の見直しが必要
食事管理咀嚼・消化力の低下に応じた調整が重要。水分を多めに、内容は信頼できる基準で選ぶ
水分補給脱水しやすくなるため、ふやかし食・スープ・水トッピングなどの工夫を取り入れる
生活環境滑り止め・段差対策・暖かい寝床など、シニアにやさしい設備の見直しが大切
心のケア飼い主との触れ合いが一番の安心。日々の会話やルーティンを大切にする
介護用品の活用必要に応じて床ずれ防止グッズ・シニア用ハーネス・オムツ等の導入も検討する

10. 災害時の備えと安心のための習慣

日本は地震や台風など自然災害の多い国です。
いざというとき、大切な愛犬の命を守る準備は「平常時」から始まっています。


● 必ず備えておきたい「持ち出しアイテム」

アイテム理由・使い方
フード(最低3〜7日分)ドライフードなら長期保存が可能なので、家に常に1袋以上余分に常備しておくことで、非常時にも慌てず対応できます。賞味期限を定期的に確認しましょう。
飲料水(ペット用硬水・浄水)人間用とは別に、飲み慣れた水を常備。ペットボトルや浄水済みボトルを複数本備蓄しておくのがおすすめです。
折りたたみクレート / ソフトケージ避難所や移動時に安心して過ごせる「自分の場所」を確保できる重要アイテム。日頃から慣らしておくことが前提です。
毛布・ベッド類愛犬の匂いのついた寝具は強い安心感を与えます。可能であれば替え用も用意しておくと◎
トイレシート・ペット用おむつ慣れたシートの使用が望ましく、複数枚のストックを。長期避難に備えて消臭タイプも推奨。
リード・首輪・ネームタグ(予備)災害時は脱走や迷子のリスクが高まるため、スペアも必須。連絡先入りの名札も常時装着しましょう。
ワクチン証明書・常備薬・健康メモ災害時に施設利用・医療受診に必要となるため、コピーでも可。チャック付き袋などにまとめて保管を。

防災バッグは、最低1年に1回中身を点検・更新しましょう。フードや水は賞味期限の管理を。


● マイクロチップ・名札は必須

  • 迷子になった際の唯一の身元証明
  • 登録情報は最新にしておくこと
  • 首輪に電話番号・犬名・飼い主名を明記したタグを併用すると安心

● クレートトレーニングが命を守る

避難所や病院、車内待機の際に落ち着いて過ごせる習慣があるかどうかは、生死を分ける場合もあります。

✅ 普段から:

  • クレート内で寝る・待つ練習をする
  • 無理に閉じ込めず、“安心できる場所”としての印象を定着させる

● 「もしも」に備えた心構え

  • 愛犬がいない生活を想像してみる
  • 散歩中に災害が起きたら? 自宅が使えなくなったら?
  • 誰かに預ける必要が出たらどうする?

このように「想像力」を働かせて備えることが、
愛犬の命を守る=飼い主の責任です。


✅ このセクションのまとめ

項目内容
必携グッズフード、水、クレート、衛生用品、医療情報など
身元証明マイクロチップ+名札+連絡先の併記
習慣化の大切さクレート練習や防災バッグの定期点検
心構え最悪のケースを想像して備えること

ダックスフンドと「本質的に豊かな暮らし」を

ダックスフンドは、可愛らしい見た目の裏に、勇敢さ・知性・高い身体能力という“本質的な魅力”を持った犬種です。
だからこそ、外見だけで判断するのではなく、その犬の「本質」に寄り添う育て方と暮らし方が必要になります。

正しい知識と実践があれば、ダックスフンドは私たちに深い信頼と、かけがえのないパートナーシップを返してくれます。
「犬と共に生きる」とは、共に悩み、共に学び、そして共に喜びを重ねていく日々の積み重ねです。

このガイドが、ダックスフンドとの人生をより豊かに、より健やかにするための一助となれば幸いです。
私たちと一緒に、“本物のダックスフンドとの暮らし”を楽しんでいきましょう。