海外研修(WDS見学)で得たもの

──「世界を見た」ことよりも、「方向性の確認」が人生を変えた。

このページでお伝えしたいこと

2009年、私はスロバキア・ブラチスラヴァで開催されたワールドドッグショーを見学しました。
当時は、まだ海外チャレンジの準備段階でしたが、そこで得たものは“憧れ”ではなく、確信でした。

  • 会場に入った瞬間に感じた「規模感」と「空気の違い」
  • そして、FCI基準のジャッジのもとで、選ばれる犬を目の当たりにして得た「方向性の確認」
    この2つが、私のブリーディングと挑戦の輪郭をくっきりさせてくれました。

【1】会場に入った瞬間、「世界が違う」と感じたこと

最初に圧倒されたのは、会場の規模感でした。
リング数、犬の数、人の流れ、動いている情報量。
雰囲気も日本とは明確に違い、「これは別の世界だ」と体で理解しました。

ワールドドッグショーは、ただ大きいイベントではありません。
犬種ごとの価値観が、国ごとの文化が、そしてブリーダーごとの信念が、同じ場所に一気に集まる場です。
その“厚み”を、入った瞬間に感じました。


【2】「良い犬が勝つ空気」があった理由

私にとって最も大きかったのは、
FCI基準のジャッジグングの中で、自分の方向性が間違っていないと確認できたことです。

ドッグショーには、勝ち負け以上に「評価の軸」があります。
その軸が自分の信念と重なっているかどうか。
もしズレているなら、どこでズレているのか。

それを“感覚”ではなく、選ばれる犬の実物を見て理解できた
この確認は、何より大きい収穫でした。


【3】「この方向で合ってる」と確信した瞬間

確信したのは、理屈ではなく、
選ばれる犬を目の当たりにした時です。

リンクの上で評価される犬には、説明を超えて伝わるものがあります。
スタンダードに適っているかどうかだけでなく、
健全性、構成、気質、表現、その全てが矛盾なくまとまっている。

「なるほど、こういう犬が選ばれるのか」
その瞬間、目標が輪郭を持ちました。


【4】BOB級の犬を見て感じた“現実”

世界には素晴らしい犬たちがいました。
ただ同時に、私は思いました。

日本のトップクラスのドイツダックスのクオリティも、決して負けていない。

海外を見に行くと、自分が小さく感じる人もいます。
けれど私は逆でした。
世界を見たからこそ、国内で積み上げてきたものの価値も再確認できました。

“憧れ”だけではなく、“現実”として勝負の絵が描けた。
これは大きいことでした。


【5】触らないと分からない価値:体質の「硬さ」

見学で強く印象に残ったのは、体質が硬い犬が多かったことです。
この“硬さ”は、ただの見た目ではありません。

骨格の強さ、組織の締まり、耐久性のある作り。
そういうものが、犬の根っこに備わっている。
それは素晴らしいと素直に感じました。

ドッグショーは、見た目の美しさだけでなく、
触って初めて分かる「身体の質」まで含めて評価する世界です。
(歯や骨の異常の有無、雄であれば睾丸の有無など、最終判断に必要な確認もあります。)


【6】日本とヨーロッパの違いは「犬種が違うくらい全部が違う」

「日本でよく見るタイプ」と「ヨーロッパで強いタイプ」の違いを一言で言うなら、
犬種が違うくらい全部が違う
私はそう感じました。

これは優劣の話ではありません。
国や地域が違えば、歴史も、目指す方向も、犬の作りも変わる。
だからこそ、海外を見学することには意味があります。

自分の理想像が、どの文化圏の価値観と重なるのか。
そして、何を守り、何を学ぶべきか。
その判断材料を持てるようになります。


【7】人と文化:オーナーハンドラーの多さとショーマンシップ

技術的な部分で見ても、オーナーハンドラーが多いと感じました。
中には「プロなんだろうな」と思う人もいましたが、それでも全体として、
オーナーがリンクに立つ文化が根付いている印象でした。

また、勝負の世界でありながら、
勝ちだけに拘らず、握手をしたり、ショーマンシップがある方が多い
喜びはもちろんある。けれど、それだけではない。
競争と敬意のバランスが、空気として存在していました。

言葉はほとんど分かりませんでした。
それでも、交流してくれたブリーダーたちの優しさは伝わりました。
“犬を通じて繋がれる”ということを、体感できたのも大切な経験です。


【8】帰国後に変わったこと/変わらなかったこと

変わったこと:目標設定が明確になった

2009年以降、ブリーディングの判断基準そのものは、私は変えていないと思います。
ただし、設定する目標が明確になった。ここが大きい。

世界を見て、「勝負ができる犬のクオリティ」が分かりました。
そして、ハンドリングも含めて、どの程度できれば通用するのか。
その“現実のライン”が見えたことは、非常に大きかったです。

変わらなかった核:理想像

変わらなかったのは、
自分の思い描いていたダックスフンドの理想像です。

海外を見て、理想像が壊れるのではなく、
理想像が“確信”へ変わる。
私にとって研修は、そのためにありました。


【9】海外見学を価値に変える方法(これだけは伝えたい)

ワールドドッグショーは、リングが100以上もあり、審査にも時間がかかります。
全てを漫然と見ようとしても、情報量に飲まれて終わります。

初めて行く方への提案

  • 見る犬種を最初に絞る(目的を明確にする)
  • 出陳目録を準備して見学する(血統背景や方向性の比較ができる)
  • 国やブリーダーごとの考え方・ブリーディングの方向性をチェックする
  • 可能なら、気になったブリーダーと交流する(これは本当に価値が高い)

そして最後に、私が一番強く伝えたいことはこれです。

目的があれば、十分に価値があります。
逆に目的がなければ、どこに行ってもさほどの意味は成さない。

自分の夢を叶えるために。
目標を達成するために。
イメージを膨らませ、世界を見てほしいと思います。


結びに

海外を見学することは、憧れを増やすためではなく、
自分の信念の「確認」と「更新」のためにあります。

私は2009年の見学で、方向性を確認し、目標を明確にし、
その後の挑戦へ繋げました。
この経験が、同じように夢を追う誰かの道標になれば嬉しいです。