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①-2【血統と遺伝的多様性】
血統は“ブランド”ではなく、“命の地図”。
導入
血統とは、ただの名前の連なりではありません。
それは、数えきれない命の記録であり、
「どんな命を、どのように受け継いできたか」を示す、生きた地図です。
トラストブリーディングでは、血統を“誇示するもの”ではなく、
未来のために“読み解くもの”として扱います。
そこに書かれているのは、外見やタイトルではなく、
健康、気質、構造、そして「信頼して受け継ぐべき命の軌跡」です。
ドイツ純血ラインの意義
シルトクレーテが守り続けているのは、ドイツ純血ダックスフンドの血です。
それは単なる血統書上の分類ではなく、
「何のために生まれた犬なのか」というルーツそのものを継承することを意味します。
ドイツのダックスフンドは、もともと狩猟犬として改良され、
地中でも、森でも、自分の判断で動ける知性と勇気を持つ犬でした。
この“目的のある犬づくり”が、
スタンダードの根底に流れる思想であり、私たちのブリーディング哲学と重なります。
純血ラインを守ることは、血を閉ざすことではありません。
それは、目的の明確な選択を続けるという姿勢を指しています。
「どこから来た血か」よりも、「どういう理想を持った血か」。
そこにこそ、純血を継ぐ意味があると考えています。
遺伝的健全性を守るという使命
理想的な構造や気質を備えていても、
遺伝的な弱点を無視したままでは、健全な繁殖とは言えません。
私たちは、遺伝疾患の予防と把握を繁殖計画の中心に据えています。
- PRA(進行性網膜萎縮症)
- 心疾患
- 椎間板疾患(IVDD)
- 歯列・噛み合わせの異常
これらのリスクを正確に理解し、
健康検査・DNA検査・家系記録を通じて長期的に追跡しています。
しかし、単に「検査を通したかどうか」ではなく、
「その血が何を伝えてきたか」を読むことが本質です。
検査で異常がなくても、精神面や体質の偏りが続いている場合、
それは次世代へのサインかもしれません。
データの先に“命の声”を聴く──
それがトラストブリーディングの遺伝管理の姿勢です。
近交の理解とコントロール
インブリード(近親交配)は、長い繁殖史の中で常に議論されてきたテーマです。
シルトクレーテではこれを一律に否定することはしません。
血を固定することで、良質な特性を安定させることができます。
しかし、それを続けすぎれば、多様性が失われ、命の幅が狭まります。
重要なのは、「どの程度の近交を、どの目的で用いるか」。
これを理解せずに避けることも、
無計画に行うことも、どちらも誠実な繁殖とは言えません。
私たちは、COI(近交係数)や家系の分布を定期的に見直しながら、
“強く、広く、しなやかに繋がる血”を維持するための管理を続けています。
血統管理という「時間の仕事」
血統管理とは、過去・現在・未来を同時に扱う仕事です。
1世代で結果を出すのではなく、
3世代、5世代、10世代を見通して組み立てていきます。
- 現在:親犬の健康と構造
- 過去:祖先の遺伝的安定性
- 未来:次世代の組み合わせと方向性
この三点を見失わないよう、すべての記録を詳細に残しています。
繁殖記録、健康診断結果、性格傾向、交配後の子犬の評価──
一頭ごとのデータが、“次の命を選ぶための地図”となります。
ブリーディングとは、時間を味方につける仕事。
10年後、20年後に正しかったと証明される選択を積み重ねていく。
それが、シルトクレーテの血統管理のあり方です。
トラストブリーディングの視点
血統とは「残すもの」ではなく、「託すもの」です。
美しい血を守るのではなく、健やかに続く命を残す。
そのために、常に問いかけます。
「この血を次へ繋ぐことは、犬にとって幸せか?」
血の流れを見つめることは、同時に“命の意味”を考えること。
それを忘れたとき、繁殖はただの作業になります。
トラストブリーディングは、命への信頼を礎に、
血統という無言の歴史を未来へと語り継ぎます。
次のテーマへ
血統を理解した上で、次に問われるのは「どう掛け合わせるか」です。
次のページでは、
理想を追うための“組み合わせのセンス”──
「掛け合わせの考え方」について詳しくご紹介します。
まとめ
血統とは、繁殖者の意志が刻まれた“命の履歴”です。
正しい血を選び、繋ぎ、守り、育むこと。
その連続の上にしか、本当の理想犬は生まれません。
私たちが継承しているのは、形や名声ではなく、
ドイツ純血ダックスフンドの精神そのもの。
血を読み、未来へ託す──
それが、シルトクレーテのトラストブリーディングです。
