④-4【環境】五感が整う空気と空間

命が安心できる場所には、静かなリズムが流れている。


導入

犬は、私たち人よりもはるかに繊細な感覚で世界を感じ取っています。
光の強さ、風の流れ、音の響き、匂いの変化。
その一つひとつが、犬たちの心や体に直接影響を与えています。

トラストブリーディングでは、こうした「五感が調和する空間」を整えることを、
繁殖や育成と同じくらい大切な基礎と考えています。


理念・考え方

良い犬は、良い環境からしか生まれません。
それは、単に清潔であることや温度管理ができているという意味ではありません。

犬が安心して眠り、自然に呼吸し、
自らのリズムで生きられる空間──
それが「環境を整える」ということです。

そのために私たちは、犬舎という建物そのものを“生きる場所”として設計し、
光・風・音・匂い・温度といった五感の要素を、
日々の管理の中で微調整しています。


実践内容

空気の流れをつくる
 空気は、命を包む透明な衣のようなものです。
 私たちは、換気や湿度の調整を機械任せにせず、
 自然風と空気の循環を感じながら環境を整えています。
 発酵菌を活かした空気環境も、常在菌のバランスを保ち、空気そのものの質を豊かにしています。

光と影のバランス
 直射日光がすべてではありません。
 犬たちは明るさよりも“光のリズム”を感じ取っています。
 朝の柔らかい光、夕方の静けさを意識した照明設計により、
 体内時計と精神の安定を支えます。

音と静けさ
 犬は、音の響きで安心も緊張もします。
 機械音や反響を最小限に抑え、
 人の声が自然に届く“静かな空間”を保っています。
 静けさは、犬にとって「考える余白」でもあります。

匂いの管理と自然な香気
 消臭ではなく、整える。
 人工的な芳香剤は使わず、
 微生物と空気のバランスで自然に匂いを抑えています。
 これにより、犬たちの嗅覚が乱されず、落ち着きを保ちます。

温度と湿度の一定化
 犬舎内は季節に応じて温度・湿度を調整していますが、
 常に“人が快適な範囲”を基準にせず、
 犬たちの呼吸や姿勢を見ながら微調整します。
 呼吸の深さや毛の状態こそが、最も正確な環境センサーです。


シルトクレーテの哲学

犬舎は、犬が過ごすだけの場所ではありません。
命が静かに呼吸し、成長するための“背景”です。

その背景に流れる空気や光が澄んでいれば、
犬たちは自然と穏やかに、そして自信を持って生きるようになります。

私たちは、犬舎を単なる施設ではなく、
“命が整う空間”として設計しています。
それは機能性よりも、感性に近い設計。
数字では測れない、けれど確かに感じ取れる“安心の空気”を形にしています。


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空間が整った先にあるのは、日々の手入れと観察。
犬たちの体調を守り、心を支えるケアの積み重ねです。

→ ④-5【日々のケア】小さな積み重ねが大きな信頼をつくる


まとめ

環境とは、犬たちが“生きるために頼る無言の支え”です。
五感を通して感じるものすべてが、犬たちの精神や体調をつくり上げていきます。

シルトクレーテでは、科学的な管理だけでなく、
日々の観察と感性の中で「整える」という行為を続けています。

光も風も、音も匂いも──
その一つひとつが、犬たちの心を安定させる要素。
それらが自然に溶け合うとき、初めて“本当の安心”が生まれるのです。