④-5【日々のケア】小さな積み重ねが大きな信頼をつくる

手をかけることは、心を通わせること。


導入

犬たちの健康も性格も、特別な瞬間ではなく“日々の積み重ね”によって形づくられます。
ブラッシング、耳掃除、爪切り、歯のチェック──
そのどれもが、単なるお手入れではなく、命の変化を感じ取る対話の時間です。

シルトクレーテでは、日々のケアを「健康維持」だけではなく、
信頼の構築プロセスとして捉えています。


理念・考え方

ケアとは、整えること以上に「心の確認」です。
触れられることを嫌がるか、受け入れるか。
その反応に、犬の信頼度や精神の安定が現れます。

トラストブリーディングにおける“整える”は、
体をきれいにするための行為ではなく、
犬の心に触れる観察行為です。

毎日繰り返す小さなケアが、
犬に「人の手は安心の象徴」と教えます。


実践内容

ブラッシングと皮膚観察
 被毛を整える時間は、体調変化を見つける時間でもあります。
 抜け毛の量、皮膚の張り、香り──
 そうした小さなサインから、体のバランスを読み取ります。
 ブラシを通す手の動きは、犬の呼吸に合わせて静かに。

耳・爪・歯のケア
 耳の通気性や皮脂の状態、爪の伸び方、歯の表面の変化など、
 どれも健康状態を映す鏡です。
 過度な力を使わず、犬が安心できるテンポで行います。

声かけと触れ方の一貫性
 同じ言葉、同じトーンで接すること。
 犬は音の意味ではなく“波”を感じ取ります。
 日々の声のリズムが、犬に安心を与えます。

清潔のバランス
 「きれいにしすぎない」ことも大切です。
 必要な皮脂や常在菌を残すことで、
 皮膚の自然なバリア機能を守ります。
 シャンプーや洗浄は、状態に応じて最小限に。

観察の継続と共有
 スタッフ間で日々の変化を共有し、
 個々の犬に合わせたケアを調整します。
 それは“作業”ではなく、“記録と対話の積み重ね”です。


シルトクレーテの哲学

毎日のケアは、見た目を整えるためのものではなく、
犬の「生き方」を感じ取る行為です。

犬の体は、心の状態をそのまま映します。
被毛の艶、表情、姿勢、呼吸──
それらを通して、私たちは犬たちの“声なき声”を聞いています。

信頼は、一度に生まれるものではありません。
毎日の手、声、時間──その積み重ねが、
やがて大きな安心へと変わります。


次のページへ

整えられた体と心は、
次のステップで“見極め”へとつながっていきます。
個体の資質を理解し、未来の家族との出会いを導く段階です。

→ ⑤【見極める】性格・構造の最終判断と譲渡基準


まとめ

日々のケアとは、
犬たちの「今」を受け止め、「次の一日」へとつなげる行為です。

ブラシをかける手、爪を切るタイミング、声をかける間合い。
その一つひとつに、命への理解と敬意が込められています。

信頼は積み重ねの中にしか生まれない。
それを知っているからこそ、
シルトクレーテでは、どんなに小さなケアも“命の対話”として行っています。