⑦−3【環境と倫理】命を取り巻く社会への責任
ブリーディングとは、社会との約束である。
導入
私たちが日々行っているブリーディングは、
個人の情熱や表現ではなく、社会との約束だと考えています。
一つの命が生まれるということは、
同時に、その命を取り巻く環境・人・文化にも影響を与えるということ。
だからこそ、犬舎の中だけで完結する繁殖ではなく、
「社会に開かれた繁殖」でなければならないと思っています。
理念・考え方
犬を繁殖させるという行為には、
常に“責任”が伴います。
健康、環境、衛生、遺伝、社会化──
そのどれか一つが欠けても、健全な命は育ちません。
トラストブリーディングでは、
繁殖を「命の創出」ではなく、命の循環の中の一部として捉えています。
犬の生涯、飼い主の人生、そして社会の在り方までを含めて、
一つの“環境”として責任を負うという考え方です。
実践内容
・繁殖環境の最適化
母犬・子犬の健康を守るため、温湿度・照明・衛生・静けさのすべてを管理。
日々の掃除や点検だけでなく、精神的な安心感まで含めて「環境」としています。
・倫理的な繁殖の徹底
利益や見た目の流行に左右されず、
その交配が“犬にとって本当に良いか”を基準に判断します。
「かけない勇気」もまた倫理の一部です。
・生涯単位での責任
譲渡後も継続してアドバイス・サポートを行い、
生涯を通して犬の幸せを見届けることを、
シルトクレーテの責任の一部としています。
・社会的影響の自覚
繁殖とは、社会に命を送り出す行為。
その一頭一頭が、家庭での暮らし方や価値観を変える存在になります。
私たちはその影響を真摯に受け止め、
“文化の担い手”としての自覚を持ち続けています。
シルトクレーテの考え方
倫理とは、ルールではなく「心の選択」です。
どんなに環境を整えても、どんなに正しい方法を選んでも、
そこに命への敬意がなければ、真の繁殖とは言えません。
私たちが大切にしているのは、
理屈や形式に縛られた正しさではなく、命に対して誠実である姿勢を優先すること。
その姿勢を守り抜くことで、
命に対する社会の眼差しを少しずつ変えていく。
それがトラストブリーディングの“静かな使命”です。
まとめ
ブリーディングは、自然や社会と切り離された行為ではありません。
犬が生まれ、育ち、家族の一員として暮らすそのすべてが、
社会の“いのちの循環”の中にあります。
だからこそ、私たちは環境を整え、倫理を守り、
誠実に命と向き合い続けます。
それが、
「命を預かる者」としての最も基本的な倫理だと信じています。
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→ ⑦−4【国際的なつながり】世界基準との対話
次の章では、ドイツ純血ラインの哲学を世界にどう伝えるか。
国際的なブリーディング文化との関わりを通して、
“対話する繁殖”の形を探ります。
