③-1【群れの力】自然の中で育つ社会性
母犬と群れが教える、“生き方”の原点
導入
子犬が最初に出会う社会は、母犬と兄弟たちから成る“群れ”です。
その中で交わされる視線や仕草、体のぶつかり合い、
小さな鳴き声のやりとり──それらすべてが、生きるための最初の言葉です。
群れの中で育つということは、
「他者との距離を学ぶ」ということ。
それは、犬という生き物の根源的な学びであり、
人と共に暮らしていく上でも欠かせない基礎になります。
理念・考え方
社会化の第一歩は、群れの中で始まります。
母犬が子を舐め、時に叱り、時に離れて見守る。
その自然な行動のすべてに“教育”が含まれています。
人が介入しすぎない環境こそ、最も豊かな学びを生みます。
シルトクレーテでは、母犬と子犬の関係を尊重し、
群れ全体が一つの“生きた教育環境”として機能するよう整えています。
子犬は母犬の表情から「安心」を学び、
兄弟とのやりとりから「譲り合い」を知り、
年上の犬の静かな存在から「秩序」を感じ取ります。
この経験が、のちに人との関係を築くための土台となります。
実践内容
・母犬と子犬を分けない時間
生後すぐの段階から、母犬と子犬の自然な関係性を保ちます。
人が過剰に手を出さず、母犬が安心して育児できる環境を整えることを最優先にしています。
・群れの安定した空気
子犬のいる部屋には、穏やかな大人の犬が共に過ごす時間を設けます。
その存在が子犬たちの情緒を落ち着かせ、社会性の核をつくります。
・世代を超えた関わり
年上の犬が自然に遊びを誘ったり、時には軽くたしなめたりする姿。
それは“犬としてのマナー”を伝える大切な瞬間です。
こうした時間が、ルールを守る力と自制心を育てます。
・環境の整え方
音、匂い、光、床の感触──
どれも社会化の一部です。
シルトクレーテでは、清潔で静かな空間を保ちながらも、
日常の生活音が自然に届く距離で育てています。
シルトクレーテの哲学
犬は“孤独では育たない生き物”です。
群れの中にこそ、安心と秩序があり、そこに学びが生まれます。
母犬は子犬にとっての最初の先生であり、
そのまなざし一つひとつが、命を導く言葉になります。
私たちは、その関係を崩さないよう、ただ静かに見守ります。
群れの安定は、命の安定。
母犬が落ち着いていれば、子犬もまた落ち着く。
その連鎖こそが、トラスト(信頼)ブリーディングの原点です。
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群れの中で社会性の基礎を身につけた子犬たちは、
次の段階として“遊び”を通じて心と体のバランスを整えていきます。
まとめ
母犬や兄弟、年上犬との関わりの中で、
犬は「生きる力」を学びます。
人がどれほど工夫しても、
この“群れの教育”に勝るものはありません。
自然の中で、犬が犬として育つこと。
それが、トラストブリーディングの「育む」の第一歩です。
