③-2【遊びの学び】心と体のバランスを整える
“遊び”は、命のリズムを取り戻す時間
導入
子犬たちは、遊びの中で世界を理解していきます。
走り、転び、噛み、追いかけ、そしてまた寄り添う。
その一つひとつの動きが、心と体を結びつけ、
「生きる感覚」を磨いていく過程そのものです。
遊びとは、単なる発散ではなく、学びの形をした成長です。
仲間とのやりとりを通して社会性を深め、
体のバランスを整え、心の安定を身につける。
その積み重ねが、のちに「落ち着き」や「自信」へと変わっていきます。
理念・考え方
犬にとっての遊びは、本能の延長線上にあります。
それは訓練ではなく、自然が教える最も豊かな時間です。
相手の出方を見ながら加減を覚え、
噛む力、距離感、スピード、感情の抑制を体で学んでいく。
そこに、社会的な成熟の入口があります。
トラストブリーディングでは、
この「遊びの質」をとても大切にしています。
ただ遊ばせるのではなく、
どんな空気の中で遊んでいるかに目を向けます。
静けさと自由が共存する環境の中でこそ、
犬は自らのペースで“バランスの取れた心”を育てるのです。
実践内容
・自由なスペースでの自然な遊び
子犬たちは群れの中で、自由に動き回れる環境で過ごします。
走る、跳ねる、匂いを嗅ぐ──そのすべてが感覚の発達を促します。
・相手を選ぶ力を育てる
すべての遊びが良い刺激とは限りません。
相手との相性やエネルギーを感じ取り、自分のペースを保つ力を育てます。
・年上犬との遊び
年上の犬は、子犬に「遊びの限度」を教えてくれます。
遊びすぎず、興奮を収める姿を見せることで、
感情のコントロールを自然に学びます。
・人との遊びの導入
人と触れ合う遊びも、早い段階から静かに始めます。
ボールやタオルを使ったやりとりを通して、
「人と一緒にいることが楽しい」という感情を育みます。
シルトクレーテの哲学
遊びとは、犬が“命のリズム”を取り戻す時間です。
単なる動きではなく、そこには感情、呼吸、
そして心の伸びやかさが息づいています。
犬は、ただ走るだけでは満たされません。
大切なのは、誰と、どんな空気の中で遊ぶか。
その質が、のちの「精神の安定」を左右します。
私たちは、遊びを“エネルギーの発散”ではなく、
エネルギーの調和として捉えています。
過剰でもなく、抑圧でもない、ちょうどよいバランス。
その中で育つ犬は、どんな環境でも心を崩さない強さを持ちます。
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遊びの中で心と体のバランスを整えた子犬たちは、
次に“人”という新しい関係に出会います。
人との距離感を自然に学び、信頼を育てる段階へ進みます。
まとめ
犬は、遊びながら生きることを覚えます。
それは単なる楽しさではなく、
自分の力を知り、感情を整え、他者と共に存在するための練習です。
“遊び”という行為の中に、
犬としての本能、社会性、そして静けさが共存している。
その美しい循環こそが、
トラストブリーディングにおける「育み」の中心なのです。

