③-4【ノーリード練習】自由の中で自制を覚える
自由とは、信頼の延長線上にあるもの
導入
リードを外した瞬間、犬がどう動くか。
そこには、その犬の心の状態がそのまま表れます。
落ち着いて周囲を見渡す犬もいれば、
新しい匂いを探して動き回る犬もいる。
どちらも間違いではなく、その子の“今”を映す姿です。
シルトクレーテでは、ノーリードの時間を
「自由の中での初歩的なマナーを育てる場」として大切にしています。
教え込むのではなく、
犬自身が“人と一緒にいる心地よさ”を見つける時間です。
理念・考え方
ノーリード練習の目的は、
「自由の中で落ち着いていられる犬を育てること」。
それは、決して“リードなしで完璧に動ける”という意味ではありません。
むしろ、自由の中で自分を整える練習に近い段階です。
人の動きに合わせて止まる、距離を保ちながら歩く、
呼ばれたら顔を上げて戻ってくる──
その一つひとつが、信頼をベースにした自然なマナーとして身についていきます。
トラストブリーディングでは、
この段階を「学ばせる」よりも「感じさせる」時間と考えています。
リードに頼らない分、犬が自ら考え、判断し、
人との空気を感じ取る力が育つのです。
実践内容
・広すぎない環境での自由
最初は、安心できる限られたスペースで行います。
犬が周囲を意識しつつも、落ち着いていられる範囲を知ることが目的です。
・人の存在を意識させる
声をかけたり、軽く動いてみたりしながら、
犬が自然と人の方へ目を向けるように導きます。
「人の動きを感じ取る」ことが、自由の中での最初のマナーになります。
・走りたい気持ちを受け入れる
走る、止まる、また戻る──
その自然なリズムを妨げずに見守ります。
行動の自由を認める中で、犬は「戻る安心」を学びます。
・呼び戻しの感覚を育てる
命令ではなく、優しく名前を呼ぶ。
犬が自ら戻ってくるタイミングを待ち、
戻った時には穏やかに声をかけて褒める。
“人のもとに戻る=安心”という感覚を自然に育てます。
・短い時間で終える
ノーリードの練習は、集中が切れる前に終えることが大切です。
「またやりたい」と思える余韻を残すことで、学びが次につながります。
シルトクレーテの哲学
ノーリード練習は、“自由を教える”のではなく、
自由の中で信頼を確かめる時間です。
人に合わせようと無理をせず、
かといって好き勝手に振る舞うわけでもない。
その中間にある“穏やかな自由”こそ、犬としての自然な姿です。
私たちは、マナーを詰め込むことよりも、
犬が自分で考え、感じ、判断する余白を大切にしています。
それは、犬の個性を尊重しながら、
“共に暮らす準備”を整えていくプロセスです。
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ノーリードで自由に動けるようになった犬たちは、
やがてその自由の中に“静けさ”を見つけるようになります。
次の章では、外の刺激に左右されない精神の安定──
「落ち着きの育成」について解説します。
まとめ
リードがなくても落ち着いていられる。
それは、教えた結果ではなく、信頼の積み重ねから生まれる姿です。
犬にとっての自由とは、解放ではなく「選べる心」。
その中で、少しずつマナーの芽が育ち、
人と共にいる安心を覚えていきます。
“自由の中で整う”──
それが、トラストブリーディングにおけるノーリード練習の本質です。

