⑤【見極める】性格・構造の最終判断と譲渡基準
“選ばれる命”ではなく、“託される命”として見極める。
導入
トラストブリーディングの流れの中で、
最も慎重で、最も静かな時間が“見極め”の段階です。
子犬たちは同じ日に生まれても、一頭一頭がまったく違う個性と構造を持っています。
動き、反応、集中力、骨格の密度──それぞれに独自の“生き方の兆し”が現れます。
この段階で大切なのは、
「この子は、どんな未来に向いているのか」を見極めること。
その子の資質や心の成長を見つめ、
どんな環境で、どんな家族と過ごすことが一番幸せなのかを静かに考えます。
外見の整いだけでなく、“心の成熟”を大切にしています。
理念・考え方
見極めとは、優劣をつけるためのものではありません。
骨格や動き、心の落ち着きなどを総合的に見つめ、
その子がどんなふうに“ひとつの命として整っているか”を確かめていく時間です。
私たちは、FCIスタンダードに基づいた構造的な観点を持ちながらも、
それを“採点”のためではなく、健康で自然な姿の確認として活用しています。
外見だけでは分からない、心の深い部分──
「安心して眠れているか」「人の手を信頼しているか」
そうした何気ない瞬間の中にこそ、その子の本質があります。
譲渡を決めるのは、タイミングと心の準備が整ってから。
シルトクレーテでは、生後4ヶ月ほどまで時間をかけて成長を見届け、
「人と生きる準備」が整った段階で送り出します。
実践内容
・性格・気質の見極め
日々の群れの中でのふるまい、人への反応、
新しい環境に対する適応力などを丁寧に観察します。
持って生まれた資質と、育ちの過程で育まれる柔らかさ。
その両方を見ていきます。
・構造・動きの確認
体高・体長・胸の深さ・前後肢のバランスを再確認し、
体の連動性と自然な姿勢を確かめます。
「美しさ」とは、無理のない機能美に宿るものです。
・心の成熟度を評価する
落ち着いていられるか、人との距離を保てるか。
自由と節度のバランスが取れているか。
これは、短期間では判断できません。
4ヶ月育成期間を設ける理由は、まさにこの“心の整い”を見極めるためです。
・マッチングの判断
犬がどんな性格で、どんな家庭に向いているか。
これは販売のための選定ではなく、
「その子にとっての最良の未来」を探す作業です。
家族の生活リズムや価値観との相性までを含めて慎重に見ます。
・譲渡の準備とタイミング
譲渡時には、環境への慣らしやトイレ、基本的なマナーを整えています。
ただし、すべてを完成させて送り出すのではなく、
「一緒に育てていく余白」を残すことを大切にしています。
詳細解説
この「見極める」という段階には、五つの具体的視点があります。
それぞれのページで、より専門的に解説しています。
→ ⑤-1【構造と動き】FCIスタンダードに基づく最終評価
骨格の密度・姿勢・連動性など、体全体の自然な完成度を確認する基準。
→ ⑤-2【気質と精神性】心の安定が生む“本当の美しさ”
落ち着き、集中力、人との関係性──外見では測れない“心の成熟”を見極めます。
→ ⑤-3【マッチング】ご縁と調和を見立てる
性格・生活環境・家族構成などを考慮し、命が最も輝ける未来を選びます。
→ ⑤-4【譲渡までの育成】4ヶ月育成の意味
焦らず、比べず、静かに成長を見届ける──「待つ」という育成哲学。
→ ⑤-5【送り出しの儀】命を託すという行為
引き渡しではなく“受け継ぎ”。旅立ちの日を、信頼の証として迎えます。
シルトクレーテの哲学
犬を譲渡することは、命を“手放す”ことではなく、
未来へ引き継ぐ行為です。
「売る」でも「別れる」でもなく、
“命を次の場所に託す”という意志の行為。
だからこそ、焦らず、比べず、静かに見極めます。
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ここで命の方向が定まり、新しい家族のもとへ旅立った後──
トラストブリーディングの“信頼”は終わりません。
次の章では、譲渡後のサポートとファミリーとの絆づくりについてお伝えします。
→ ⑥【つなぐ】ファミリーとの関係と生涯サポート
まとめ
“見極める”とは、評価ではなく理解。
その子の中に流れる命の方向を感じ取り、
ふさわしい未来へと導くこと。
形の完成ではなく、心の整いを待つ。
譲るのではなく、託す。
その静かな判断の一つひとつが、
シルトクレーテのトラストブリーディングを支える基礎となっています。
